ハルシオンのMTGブログ

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第4版の頃のトレード事情

部屋を整理していたら懐かしい日記が出てきたよ。そこには第4版が出て間もないころ、ある大会でトレードをした記録が書かれていたんだ。あの頃は日本語版がない上に、インターネットでの情報収集もできなかったからね。レアリティさえ分からない混沌とした状況の中で、本当に自分が使いたいカードをトレードする、というある意味正しいトレード環境だった。この日記を頼りに当時の記憶を呼び覚まして紹介しよう。今回登場する第4版のカードについては、一部以前話題に出ていた覚えがあるから、思い出しながら聞いてほしい。


初参加の大会にて

その日、私はマジックの大会に初参加し、友人以外とトレードするのは初めてだった。その頃私はメインの赤緑デッキと、サブの青黒デッキを使っていた。もっとも、デッキのアーキタイプという概念さえなく、適当に強そうなカードや使ってみたいカードを突っ込んだだけの、今から思えば紙の束だ。私が試合開始前に会場でカード整理をしていた時、一人の見知らぬ男が近づいてきてこう言った。「良かったら君のカードを見せてくれないか?カードを交換しよう」

デッキを強化するためには新しいカードが必要だと考えていた私は、戸惑いながらもその申し出を受け入れた。カードファイルも持っていなかったため、その若い男は私のカードボックスのカードを端から見だした。一方で私は男のカードファイルを見る。初めて見るカードが多くてね、ワクワクしたものさ。当時の私は知らないカードのイラストを見るだけでも新鮮で楽しい、といった純真無垢な少年だったんだ。

私が物珍しげに彼のカードを眺めている間に、その男は私の数百枚のカードをあっという間に見終え、その中から何枚かのカードをピックアップしていた。「俺が欲しいのはこのカード達だ。この中でトレード出来ないものはあるかい?」男はそう言うと、私の前に数枚のカードを並べた。その箱には今デッキに入れていないカードだけが入っていたので、出せないカードはないと答える。彼は満足げに欲しいカードを選んでくれ、と言った。まだ中学生だった私は英語を訳すのも一苦労で、強いクリーチャーが欲しい、とか、面白いカードを使ってみたい、とか曖昧な希望を伝えた。


初トレード、始まる!

ハルマゲドン男「まず俺が欲しいのはこの"Armageddon"だ」
私「ああ、白は使ってないから別にいいよ。それって強いの?
男「自分の土地も壊れてしまうからね。はっきり言って使いにくいカードだね」
私「じゃあなんでそんなカードが欲しいのさ?」
男「友達が黒緑の"Kormus Bell""Living Lands"のデッキを使っているから、その対策にと思ってね」
私「それってどんなデッキなの?スゴイの?
男「ああ。自分の土地を1/1のクリーチャーに変えて殴ってくるという強烈なデッキなんだ。"Kormus Bell"は”沼”を、"Living Lands"は”森”をクリーチャーに変えてしまうというぶっ飛んだレアカードなんだ」
私「そりゃあ、スゴイね!」

Kormus Bell“コーマスの鐘/Kormus Bell”
(4)
アーティファクト
すべての沼(Swamp)は黒の1/1のクリーチャーである。それは土地でもある。




Living Land“生きている大地/Living Lands”
(3)(緑)
エンチャント
すべての森(Forest)は1/1のクリーチャーである。それは土地でもある。




男「ああ。だから俺は”Armageddon”のようなカードが必要なんだよ」
私「なるほど、分かったよ。えっと、代わりに何をもらおうかな・・・」
男「じゃあ、君の赤緑デッキにピッタリな、この"Hurr Jackal"はどうだい?」
私「えー、1マナ1/1かあ。弱そうだな」
男「確かにそうかもしれない。でもコイツは中々役に立つ能力を持っている」
私「どんな能力なの?」
男「君はregenerate(再生)持ちクリーチャーに苦しめられたことはないかい?」
私「ああ、あるある。友達の"Will-o'-the-Wisp(黒1マナ、飛行、再生の0/1。レア)"に、僕の"Craw Wurm(4緑緑、6/4バニラ、コモン)"が止められちゃうんだ。赤緑だとどうにもできないんだよね」
男「そんな時、この"Hurr Jackal"が活躍する。コイツはタップだけで対象クリーチャーの再生を禁止させられる!」
私「おお、スゴイ!」


あのアラビアン・ナイトのカードをもらえた!

Hurr Jackal“Hurr Jackal/ハール・ジャッカル”
(赤)
クリーチャー 猟犬
(T):クリーチャー1体を対象とする。このターン、それは再生できない。
1/1

男「しかもコイツはあのアラビアン・ナイト出身の再録カードなんだ」
私「アラビアン・ナイト?名前は聞いたことあるよ。昔のセットだよね?」
男「そう。あまりにも強力なカードが数多く収録されているため、今では入手困難で1パック買うだけでも1万円以上(当時)もするという、あのアラビアン・ナイトだ」
私「そうなんだ!スゴイ!」
男「"Hurr Jackal"はコモンのレアリティで収録されたのだが、強すぎたせいで第4版ではレアカードとして昇格再録させられた」
私「えぇ!そんなカードをくれるの?」
男「ああ。俺のデッキには他に再生対策があるからね」
私「嬉しい、やった!」


サバンナライオン男「そうか。じゃあこの"Hurr Jackal"は君の物だ!」
私「ありがとう!」
男「次はこの"Savannah Lions"が欲しいんだけど」
私「え、そんな何の能力もないクリーチャー、さっきのおまけにあげるよ!」
男「いやいや、それは悪いから、もう一枚"Hurr Jackal"を付けるよ」
私「え、やった!ありがとう!お兄さんいい人だね!」
男「1枚だけじゃ引けないと困るだろうからね」



緑では珍しいあの能力を持ったカードをゲット!

神の怒り男「さて、次に俺が欲しいのはこの"Wrath of god"だ」
私「あー、それかあ」
男「クリーチャーを全滅させられるカードだけど・・・確か白は使っていないんだよね?」
私「うん。自分のクリーチャーが一緒に死んじゃうなんて、まっぴらだよ」
男「これを使えばクリーチャーになった土地をまるごと始末できるからね。俺には必要なんだ」
私「ああ、確かに"Armageddon"だけだと不安だよね。いいタイミングで引けないと駄目だから」
男「そうなんだ。だからこのカードをトレードしてほしい」
私「いいけど今度は何をもらおうかな」
男「緑のクリーチャーなら、この"Timber Wolves"はどうかな?」
私「また1マナ1/1かあ。しかも能力がBanding(バンド)だけじゃん」
男「ところで、緑のBandingクリーチャーって見たことあるかい?」
私「そういえば初めて見たね。今まで見たのはみんな白かった」
男「そう。なぜだか分かるかい?」

Timber Wolves“森林狼/Timber Wolves”
(緑)
クリーチャー 狼
バンド
1/1

私「うーん、分からないや」
男「緑にBandingは強すぎるから、さ」
私「え、そうなの!?」
男「そう。だからコイツはレアなんだ」
私「そっか。緑のパワフルなクリーチャーがBandingで攻めて来たら、確かに強いもんね!」
男「ああ、そうさ。君の"Craw Wurm"と一緒に攻めてどんなに強い相手にブロックされても、Wurmは死なないね。しかもそれが赤緑デッキで実現できるんだ」
私「分かったよ!"Wrath of God"と交換しよう」
男「ありがとう」
私「これで僕のデッキは強化されたね!」
男「ああ、もちろんさ」


ついに登場!最強クリーチャー!

Nevinyrral's Disk私「ねえ、次は?次は?
男「ははは、そう慌てなくていいよ。次は"Nevinyrral's Disk"が欲しいんだ」
私「確かそれも僕のクリーチャーが死んじゃうんだよね」
男「そう。しかも、エンチャントやアーティファクトも破壊される」
私「あ、分かった!"Kormus Bell""Living Lands"も一緒に壊そうって魂胆だね!」
男「察しがいいなあ。君は将来きっと強いデュエリストになるね」
私「そうかな、えへへ」
男「そんな君に、このカードを紹介しよう」
私「す、スゴイ!10/10だっ!」
男「そう。これが最強クリーチャーの"Leviathan"だ!」

eviathan
“リバイアサン/Leviathan”
(5)(青)(青)(青)(青)
クリーチャー リバイアサン
トランプル
リバイアサンはタップ状態で戦場に出、あなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、島を2つ生け贄に捧げてもよい。そうした場合、リバイアサンをアンタップする。
リバイアサンは、あなたが島を2つ生け贄に捧げないかぎり、攻撃できない。
10/10

私「Trumpleまで持ってる!凄すぎ!絶対欲しい!
男「サブの青黒デッキがメインになってしまうかもしれないね」
私「うん、そうするよ!」
男「おまけにこのカードも付けよう」
私「なんだか気味の悪い絵だね。これは?」
男「この"Deathlace"があればたった1マナで"Leviathan""Terror(1黒、インスタント、黒でないクリーチャーを破壊。コモン)"から守れるぞ」
私「そうなんだ。やった!

Deathlace“死の色/Deathlace”
(黒)
インスタント
呪文1つかパーマネント1つを対象とする。その色は黒になる。





手ごわいアーティファクト対策も入手!

triskelion十字軍

男「俺はもうこれで十分だが、何かあるかい?」
私「え、もっとトレードしたい!実は青黒デッキのアーティファクト対策が何かないか探してるんだ」
男「ああ、そうか。確かに青黒デッキはアーティファクトが対策しづらいね」
私「そうなんだよ。弟のトリ・・・トリス・・・ええと」
男「ああ、"Triskelion"か。アレは中々強いからね。それならコイツを使うといい」
私「何?この伸びた金貨みたいなカードは?」
男「これは"Warp Artifact"というアーティファクトに着けるエンチャントだ」
私「ふうん、付けるとどうなるの?」
男「アーティファクトの持ち主が、毎アップキープに1点食らう」
私「ダメージを与えられるんだ!破壊するよりスゴイかも!」
男「ああ、そうさ
私「これがあれば"Triskelion"を出させたことを後悔させられる!」
男「うん。じゃあこのマナコストが似ている"Crusade"と交換しようか」
私「そうだね、エンチャント同士でもあるし」
Warp Artifact”Warp Artifact/歪んだ秘宝”
(黒)(黒)
エンチャント オーラ
エンチャント(アーティファクト)
エンチャントされているアーティファクトのコントローラーのアップキープの開始時に、歪んだ秘宝はそのプレイヤーに1点のダメージを与える。



こうして私は赤緑デッキでの大会参加を急遽変更し、青黒デッキで大会に臨んだ。結果は・・・まあ、推して知るべし、だ。マジックの奥深さ、トレードの世界の厳しさ、カードの強さとは何か・・・。様々なことを学んだ素晴らしい機会だった。今の君たちはネットで最新の情報を簡単に入手できて・・・ちくしょうめ!!!
念のため付け加えておくが、これらのトレードは全てレアカード同士のトレードであり、その点では公正なトレードだったといえるだろう。

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今回は”アライアンス”のレアカードたちを紹介!

前回に引き続き、アライアンスのカードの紹介を続けよう。今回はレアカードの紹介だ。当然、今回も強力カードが目白押しだから、うきうきしているよ。


まずはアーティファクトから!

Helm of Obedience"Helm of Obedience"
  (4)
アーティファクト
(X),(T):対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを、この方法でクリーチャー・カードかカードがX枚置かれるかするまで自分の墓地に置く。この方法によりクリーチャー・カードが墓地に置かれた場合、Helm of Obedienceを生け贄に捧げるとともにそのカードをあなたのコントロール下で戦場に出す。Xは0にできない。

「当時のアライアンストップレアは?」という質問は、かなりの難問といえるね。その中でも候補の一つとしてはこの"Helm of Obedience"が挙げられる。主にパーミッションデッキで使われた1枚で、相手のターン終了時に起動することでクリーチャー確保の役割を担ってくれた。その一方、クリーチャーレスデッキに対しては強烈なライブラリー破壊カードとしての働きをしたという、2つの活躍をした面白いカードだね。


Soldevi Digger"Soldevi Digger"
(2)
アーティファクト
(2):あなたの墓地の一番上のカードを1枚、あなたのライブラリーの一番下に置く。

前回紹介した"Brows"と一緒に活躍したのがこの"Soldevi Digger"だ。ゲームが進むにつれ必要なカードだけが詰まった高機能なライブラリーが完成していく。このタイプのデッキはブロウズディガーと呼ばれ、パーミッションデッキのの一つとして認知されていた。"Soldevi Digger"が除去されない限りはライブラリーアウトで負けないからね。"石臼"や前述の"Helm of Obedience"と一緒に使われていたよ。


Storm Cauldron"嵐の大釜/Storm Cauldron"
(5)
アーティファクト
各プレイヤーは、それぞれの自分のターンの間にさらに1枚の土地をプレイしてもよい。
土地がマナを引き出す目的でタップされるたび、それをオーナーの手札に戻す。

パッと見では重い上に使いづらそうな能力、といった印象だが、コイツには1ターンキルデッキを生んでしまったというとんでもない過去がある。自身ではなくタイプ1環境に存在した"Fastbond"というカードを1枚制限にしてしまった。無限マナから"生命吸収"を打つデッキなのだが、幸いスタンダードでは"Fastbond"相当のカードが不在のため猛威を振るうことはなかったね。


Lodestone Bauble"Lodestone Bauble"
(0)
アーティファクト
(1),(T),Lodestone Baubleを生け贄に捧げる:プレイヤー1人の墓地にある基本土地カードを最大4枚まで対象とし、それらをそのプレイヤーのライブラリーの一番上に望む順番で置く。そのプレイヤーは、次のターンのアップキープの開始時にカードを1枚引く。

デッキを選ばず土地破壊デッキへのサイドボードとして活躍したのが"Lodestone Bauble"だ。土地が墓地になくてもデッキ圧縮効果があるため、メタゲーム次第ではメイン投入もあり得た。アライアンスで登場した"Pillage"の入った土地破壊デッキはもとより、"ハルマゲドン"後のリカバリーにもひと役買っていた。


高アドバンテージの土地たちも強力!

Thawing Glaciers"Thawing Glaciers"
土地
Thawing Glaciersはタップ状態で戦場に出る。
(1),(T):あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードをタップ状態で戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。次のクリンナップ・ステップの開始時に、Thawing Glaciersをオーナーの手札に戻す。

当時のアライアンストップレアの一角、土地サーチ能力を持った土地である"Thawing Glaciers"は、第4版が落ちてからのスタンダードで猛威を振るった。多色デッキ向きの能力ともいえるが、遅いデッキであればアドバンテージを稼ぎやすいので、多色デッキでなくても投入されていたね。長期戦ではデッキ圧縮効果も高く、直接的でないアドバンテージを教えてくれる良いカードでもあったんだ。


Kjeldoran Outpost"Kjeldoran Outpost"
土地
Kjeldoran Outpostが戦場に出る場合、代わりに平地を1つ生け贄に捧げる。そうした場合、Kjeldoran Outpostを戦場に出す。そうしなかった場合、それをオーナーの墓地に置く。
(T):あなたのマナ・プールに(白)を加える。
(1)(白),(T):白の1/1の兵士クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。

第4版がスタンダードを去り"露天鉱床"がなくなった時、このカードは時代の寵児となった。スタンダードのどんな大会でも必ずカウンター・ポストは成果を出していた。パーミッションコントロールという言葉を体現したかのような見事なそのデッキは、勝利手段は"Kjeldoran Outpost"またはナチュラルなライブラリーアウトだけだった。"Thawing Glaciers""Force of Will"と一緒にアライアンス全盛期を彩った1枚だよ。


Lake of the Dead"Lake of the Dead"
土地
Lake of the Deadが戦場に出る場合、代わりに沼を1つ生け贄に捧げる。そうした場合、Lake of the Deadを戦場に出す。そうしなかった場合、それをオーナーの墓地に置く。
(T):あなたのマナ・プールに(黒)を加える。
(T),沼を1つ生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(黒)(黒)(黒)(黒)を加える。

"ネクロポーテンス"を支えた屋台骨の一つがこの"Lake of the Dead"だ。"暗黒の儀式"だけでは我慢できなかったのか、土地にまで高速化エンジンを搭載した格好だ。まったく、黒らしいワガママなやり口だね。沼1枚から計5マナも出てしまうというとんでもない爆発力は、"生命吸収"の火力アップから"ストロームガルドの騎士"のパンプアップまで幅広く活躍した。


有色カードもコントロール寄りのカードが強い!
Krovikan Horror"Krovikan Horror"
(3)(黒)
クリーチャー ホラー スピリット
終了ステップの開始時に、Krovikan Horrorがあなたの墓地にあり、そのすぐ上にクリーチャー・カードがある場合、あなたはKrovikan Horrorをあなたの手札に戻してもよい。
(1),クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。Krovikan Horrorはそれに1点のダメージを与える。
2/2

再利用可能なクリーチャーであるだけでも優秀だが、コイツはさらにクリーチャー除去としての効果も期待できる強力なレアクリーチャーだ。正直言ってこの頃のレアクリーチャーはイマイチな連中が多かったのだが、コイツはレアらしい強さを持っていたね。アイスエイジ"Ashen Ghoul"や第4版の"冥界の影"と一緒に活躍した姿が懐かしいものさ。


Dystopia"Dystopia"
(1)(黒)(黒)
エンチャント
累加アップキープ ― 1点のライフを支払う。
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは緑か白のパーマネントを1つ生け贄に捧げる。

アライアンスには敵対色対策のレアが各色に1枚ずつあったが、実践で大きな成果を上げたのはこの"Dystopia"だった。3マナと軽い上に、維持コストがライフだけというのも優秀だ。累積アップキープとはいえ、状況によっては3対1以上もあり得た優秀なカードだ。いまだにヴィンテージなどで見かけられる、息の長いカードだね。


Diminishing Returns"先細りの収益/Diminishing Returns"
(2)(青)(青)
ソーサリー
各プレイヤーは、自分の手札と墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。あなたはあなたのライブラリーのカードを上から10枚、追放する。その後各プレイヤーはカードを最大7枚まで引く。

正直言って、アライアンスの青いレアはスタンダードでは活躍できなかった。まあ、青には"Force of Will"というとんでもないアンコモンがいるから仕方なし、といったところか。そんな中このカードは、第6版再録時にMoMaデッキの最終形態で採用されていたね。


Exile"流刑/Exile"
(2)(白)
インスタント
白でない攻撃しているクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。あなたは、そのタフネスに等しい点数のライフを得る。

トーナメントでよく見られた白いレアといえば、やはり"Exile"だろう。白クリーチャーには効かないものの、それでも"Phirexan Warbeast"がよく見られたものだから、1~2枚はメイン投入もされていたんだ。もちろんお得意様は"アーナム・ジン"や、前述の"バルデュヴィアの大軍"だったね。


数少ないビートダウン系の強力カードたち!

Kaysa"Kaysa"
(3)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー エルフ ドルイド
あなたがコントロールする緑のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
2/3

"Kaysa"待望の緑クリーチャー全体強化能力を持ったレアクリーチャーだ。緑はクリーチャー中心デッキになりやすいので意外なのだが、こうした能力は緑では初めてだったんだ。コストが重い上に、"十字軍"などとは違い自身がクリーチャーなので除去されやすい、伝説のクリーチャーであるという数々の問題があったがね。大人気絵師Rebecca Guayのイラストの良さも相まって、緑好きはデッキにお守りとして1枚入れている人もいたね。


balduvian Hords"Balduvian Hords"
(2)(赤)(赤)
クリーチャー 人間 バーバリアン
バルデュヴィアの大軍が戦場に出たとき、あなたがカードを1枚無作為に選んで捨てないかぎり、バルデュヴィアの大軍を生け贄に捧げる。
5/5

かなり意外に思うかもしれないが、このシンプルなクリーチャーもアライアンスのトップレアだ。当時のスタンダードを席巻していた”アーナム・ジン””セラの天使”でも止められないこのサイズは魅力的で、それが4マナというコストで現れたのだから、大人気となったんだ。苦手なバウンスは当時使われていなかったが、"Kjeldoran Outpost"の兵士トークンには手こずっていたね。


と、アライアンスの紹介はこんなところだ。とにかく、アライアンスのカード水準は当時としては異例で、あっという間に店頭から姿を消し、スタンダードリーガルの時期でもパックが定価で買えないという有り様だったんだよ。そのせいか・・・また次のミラージュではレアの強さが少し落ち着いたところがあってだねえ。まあ、その辺りはまた今度ゆっくり話すとしようか。

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胸が高鳴る!超強力セット”アライアンス”

ふふふ、やあ、遅かったじゃないか。待っていたんだよ。え?なぜって?そりゃあ、今日はアライアンスの話ができるからさ。私は強いセットが好きなんだよ。強いカードの話ができるのは嬉しいものさ。あまりにも好きなカードが多いので、今回は大型セット以外で初めて2回に分けてお話しさせてもらうよ。このアライアンスはそれに相応しい、実にパワフルなセットだ。それでは、始めよう。

まずはアライアンスの代名詞、ピッチスペルを紹介

Force of Will"Force of Will"
(3)(青)(青)
インスタント
あなたは、"Force of Will"のマナ・コストを支払うのではなく、1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある青のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

おそらくこのカードだけで記事が1本書けてしまうだろう。有名カードなので詳しい説明は省くが、間違いなくアライアンスを代表するカードだよ。歴史的な1枚と言っていいだろう。マジックのプレイングに甚大な影響を与え続けている。このカードが存在するせいで、勝てるデュエルを落としたなんてことは数知れず、だ。私は存在しているせいで、と言ったね。相手に打たれたせいで、とも、相手が手札に持っていたせいで、とも言っていない。存在するだけで強い、という稀なカードだ。


Contagion"Contagion"
(3)(黒)(黒)
インスタント
あなたは、"Contagion"のマナ・コストを支払うのではなく、あなたは1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある黒のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
1体か2体のクリーチャーを対象とする。それらの上に-2/-1カウンターを2個、望むように割り振って置く。

"Force of Will"が出たので、同じピッチスペルである"Contagion"を紹介しようか。相手がクリーチャーデッキでないと活躍できないから、残念ながら汎用性という視点では"Force of Will"には敵わない。しかし、カード2枚を始末できる可能性を考えると、ハンドアドバンテージでは確実に損をする"Force of Will"より優秀だからね。"ネクロポーテンス"と一緒によく見るカードだった。


ピッチスペルは青と黒が強かったが・・・

Pyrokinesis"紅蓮操作/Pyrokinesis"
(4)(赤)(赤)
インスタント
あなたは、"Pyrokinesis"のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある赤のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
好きな数のクリーチャーを対象とする。紅蓮操作はそれらに4点のダメージを、望むように割り振って与える。

赤のピッチもクリーチャー対策カードだ。これが本体にもダメージが入ったなら、"Contagion"を大きく上回る評価だったろうね。しかし最大4枚のカードを持って行けるというのは魅力的だ。序盤に"極楽鳥""Spectral Bears"をまとめて焼き払えるならピッチで打つのも悪い取引ではない。この頃大量発生した兵士トークンも4つ焼ければ死期も遠のくから、私はデッキに2枚程入れていたものだよ。


Bounty of the Hunt"狩りの報奨/Bounty of the Hunt"
(3)(緑)(緑)
インスタント
あなたは、狩りの報奨のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある緑のカード1枚を追放することを選んでもよい。
1体か2体か3体のクリーチャーを対象とし、それらの上に3個の+1/+1カウンターを割り振って置く。これによりあなたがクリーチャーの上に置いた各+1/+1カウンターについて、次のクリンナップ・ステップの開始時にそのクリーチャーから+1/+1カウンターを1個取り除く。

当時のスタンダードで使用されたピッチスペルの中では最も使用頻度が少なかったのがこの"Bounty of the Hunt"だ。かなり状況が整わないとカード3枚分以上の活躍は見込めない。それでも弱いカードとは言い難く、当時もう少しストンピィが活躍できる環境だったらもっと成果を残せたかもしれないね。環境が緑単には厳しい時代だったのさ。


Scars of the Veteran"古参兵の傷痕/Scars of the Veteran"
(4)(白)
インスタント
あなたは、古参兵の傷痕のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある白のカード1枚を追放することを選んでもよい。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを7点軽減する。次の終了ステップの開始時に、これにより軽減されたダメージ1点につき、そのクリーチャーの上に+0/+1カウンターを1個置く。

ピッチスペルでコイツだけ紹介しないというのも気の毒だからなぁ。ええと、"Bounty of the Hunt"は当時のスタンダードで使われたカードの中では低評価と言ったが、こちらはピッチスペルの中で唯一使われることがなかったカードだ。悪くない効果ではあるが、盤面に影響を与えにくい能力だからねぇ。他の4枚と比べると見劣りしてしまうかな。これが有用に働くファッティや、本体にきっかり20点のX火力を打ち込むコンボデッキが存在していなかったというのも逆風だった。


ピッチスペル以外も優秀なアンコモン達

Browse"拾い読み/Browse"
(2)(青)(青)
エンチャント
(2)(青)(青):あなたのライブラリーのカードを上から5枚見て、そのうちの1枚をあなたの手札に加える。残りを追放する。"

お次は青のエンチャント、"Browse"を紹介しよう。ライブラリーのトップ5枚から最高の1枚を選べる、という強力なメリットに対し、ものすごい勢いでライブラリーが擦り減っていく、いや、この速さは蒸発していく、という表現がいいだろう。墓地のカードをライブラリーに戻すカードと一緒に使いながらデメリットを軽減することで運用されていたね。


Lim-Dul's Vault"リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul's Vault"
(青)(黒)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを見る。あなたが選んだ回数だけ、あなたは1点のライフを支払い、それらのカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置き、その後あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを見てもよい。その後、あなたのライブラリーを切り直し、これによりあなたが見た最後のカードをその一番上に望む順番で置く。

コンボデッキ向きのドロー補助カードがこの"Lim-Dul's Vault"だ。ハンドアドバンテージを得られない点は痛いが、4枚積みのカードなら2~3ライフでほぼ確実にライブラリートップに導けるだろう。ドローの質向上を低マナかつインスタントで実践できるこのカードは、青黒デッキならコンボデッキに限らず採用されていた。惜しむらくは、当時青黒デッキはシェア低めの勢力だったことだね。


赤いアンコモンはアーティファクト除去だらけ!

Primitive Justice"Primitive Justice"
(1)(赤)
ソーサリー
"Primitive Justice"を唱えるための追加コストとして、あなたは(1)(赤)と(1)(緑)の組み合わせを望む回数だけ支払ってもよい。
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。あなたが追加で支払った(1)(赤)1回につき、他のアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。あなたが追加で支払った(1)(緑)1回につき、他のアーティファクト1つを対象とし、それを破壊し、あなたは1点のライフを得る。

この"Primitive Justice"は、アーティファクト除去としてはかなりの採用率だった。当時の環境では"氷の干渉器/Icy Manipulator"や、この後紹介する"Phyrexian War Beast"といったアーティファクトがよく見られ、2枚以上を対象にできるチャンスも少なくなかったからね。メインとサイド合わせて2~3枚の投入はよく見られたものだよ。


Gorilla Shaman"ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman"
(赤)
クリーチャー 類人猿 シャーマン
(X)(X)(1):点数で見たマナ・コストがXである、クリーチャーでないアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
1/1

同じアーティファクト対策にあってスタンダードで活躍した"Primitive Justice"に対し、現在のエターナル相当だった「タイプ1」環境で活躍したのが"Gorilla Shaman"様だ。各種"Mox"やミラディンのアーティファクト・土地を破壊する手段として、今でも活躍中の1枚だ。起動型能力を持つクリーチャーの中では最優秀選手といっていいレベルではないかな。稀にフィニッシャーにもなれる点も評価したいね。


pillage"略奪/Pillage"
(1)(赤)(赤)
ソーサリー
アーティファクト1つか土地1つを対象とし、それを破壊する。それは再生できない。

高い汎用性とシンプルなテキストが魅力の"Pillage"は、歴代の土地破壊系スペルの中でもトップクラスの能力だ。土地破壊デッキでマナ・アーティファクトを破壊できるというのが実にいい。まさに「かゆいところに手が届く」といった感じだね。特に猛威を振るったのは、第6版に再録されたウルザブロック時代の赤茶単と呼ばれるデッキだが、アライアンス時代でも強力な土地が一気に増えたため、土地破壊以外のデッキでもよく使われた1枚だね。


高水準なクリーチャーを要する緑のアンコモン

Yavimaya Ants"ヤヴィマヤの蟻/Yavimaya Ants"
(2)(緑)(緑)
クリーチャー 昆虫
トランプル、速攻
累加アップキープ(緑)(緑)
5/1

ついに累加アップキープ持ちがスタンダードで活躍する日が来たんだ!この蟻は"アーナム・ジン""セラの天使"といった当時のエース級クリーチャー達と相討ちを取れるパワーを持っている。先制攻撃持ちは苦手だが、速攻のお蔭で攻撃してきた隙をついて手痛い一発をお見舞いできる。トランプルもいいねぇ。兵士トークンと相討ちでも、4点は本体に叩き込めるからね。"ボール・ライトニング"は赤単でないと運用が難しいが、こいつは緑単色でなくとも2回は殴れるだろう。私の好きな1枚だよ。


Deadly Insect"命取りの昆虫/Deadly Insect"
(4)(緑)
クリーチャー 昆虫
被覆
6/1

"Yavimaya Ants"に続いて、緑の虫をもう一枚紹介しよう。"Deadly Insect"は私の好きなプリズン系デッキでフィニッシャーとして採用されることのあった渋めのクリーチャーだ。ブロッカーとしても信頼出来るし、アタックに行ける状況になればあっという間に勝利をもたらしてくれる。そのお膳立てが大変なわけだが、クリーチャー除去の強い当時の環境では彼の活躍する場はあったんだ。


Elvish Spirit Guide"Elvish Spirit Guide"
(2)(緑)
クリーチャー エルフ スピリット
あなたの手札にあるElvish Spirit Guideを追放する:あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
2/2

こいつもピッチスペルの範疇に入るかな。カードタイプはクリーチャーでありながら、基本的に場に出る機会はあまりない。"ラノワールのエルフ"より"暗黒の儀式"に近いかな。他のピッチとは違って緑のデッキでなくても採用できる点も面白い。ただ、最も向いているストンピィの勢力が小さく、コンボ系デッキも活躍していなかったため、なかなかの能力の割にトーナメントで見かける機会はそれほどでもなかったと記憶しているよ。


強力セットはコモンもパワフル

Arcane Denial"秘儀の否定/Arcane Denial"
(1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーは、次のターンのアップキープの開始時にカードを最大2枚まで引いてもよい。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。

"Force of Will"と並ぶアライアンスの確定カウンター、"Arcane Denial"なんとコモンカードだ。どんなスペルでも対象に取れる上に軽量なコストは"対抗呪文"があった当時でさえ魅力的で、トーナメントシーンでよく見られたものさ。ただし、手札アドバンテージを失っているから注意が必要だ。確定カウンターでありながらシングルシンボルなので、多色系のデッキでの採用したこともあるよ。


guerrilla tactics"ゲリラ戦術/Guerrilla Tactics"
(1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ゲリラ戦術はそれに2点のダメージを与える。
対戦相手がコントロールする呪文や能力によって、あなたがゲリラ戦術を捨てさせられたとき、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ゲリラ戦術はそれに4点のダメージを与える。

露骨な友好色への対策カードというのが珍しいね。赤の黒対策"Guerrilla Tactics"は、相手に手札破壊を強制されたときに誘発する効果を持ったカードの先駆けだ。相手が黒でなくとも最低限の働きはするので、第4版が落ちた後の"稲妻"枠に無理やり投入された時期もある。しかし最も輝いたのはやはり対ネクロディスクで、”Hymn to Tourach”"惑乱の死霊"でピックされると爽快だったね。


Phyrexian War Beast "Phyrexian War Beast"
(3)
アーティファクト クリーチャー ビースト
Phyrexian War Beastが戦場を離れたとき、土地を1つ生け贄に捧げ、Phyrexian War Beastはあなたに1点のダメージを与える。
3/4

スタンダードで活躍したコモンのアーティファクトクリーチャーというのはかなり珍奇だね。無色は汎用性の高さゆえ、デザインが難しいということだが、このカードはその網をかいくぐり世に出た稀少なカードだ。プロテクション持ちの騎士達や"Spectral Bears"を止め、"稲妻"で落ちない優秀なスペックが人気だった。当時はバウンス系のカードが活躍していなかったのも好条件だったね。当時のスタンダードのカードプール全体で見ると、3マナクリーチャーはなぜか優良カードが少なかったのも採用率アップにつながったようだ。

次回はアライアンス後篇、レアカードを紹介していこうと思っているよ。

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アイスエイジはマジック初の独立型エキスパンションで、ブースターパックだけでなくスターターボックスという60枚入りの小箱での販売もされていたんだ。初めて基本セットとは違う絵柄の基本地形が登場し、これを使うのはちょっとしたお洒落だった。氷河期を舞台としたセットだけあって、涼しげなイラストが熱いデュエルに一服の清涼をもたらしてくれたものさ。

plainsイラストが連続していてお洒落


氷雪地形はイマイチだった

アイスエイジのテーマとして、氷雪地形を利用したカードというものがあったね。基本土地の一種で、氷雪森とか氷雪島とかあったわけだ。それに付随して、様々なカードに氷雪土地を利用したり参照したりするようなカードが存在していたんだが・・・。こいつらがどいつもこいつもポンコツなんだよ。トーナメントで活躍したカードはないと言っていい。強いて言えばGlacial Crevassesという赤いエンチャントが使われていたかな。ただし、このカードは現代の常識からはかなりかけ離れたカードだ。

Glacial Crevasses

Glacial Crevasses
(2)(赤)
エンチャント
氷雪山を1つ生け贄に捧げる:このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。



能力だけ見れば、まあ、こんなカードもあるかな、といった感じだが、このカードはまさかの赤だ。赤いカードなのに防御専用の効果を持つという、かなり個性的なカードといえるだろうね。一部の低速な赤いデッキに使用されていた。ついでに言うと、こんな良く似たカードも存在していた。

Sunstone

Sunstone
(3)
アーティファクト
(2),氷雪土地を1つ生け贄に捧げる:このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。



ちなみにGlacial CrevassesがレアでSunstoneはアンコモンだ。起動マナの要不要や生贄にできる氷雪土地の違いがあるが、なぜこんな似たカードを同じセットに収録したのかは謎だ。氷雪土地に関するカードははるか後になって発売されるコールドスナップというセットで大幅に補強されるが、正直言ってアイスエイジだけでは折角の新要素を活かしきれていなかった感があるね。


ゆっくり累加アップキープしよう

アイスエイジはゆっくりした環境だったのだが、その原因はこのセットのキーワード能力である累加アップキープがかもしれないな。これはパーマネントのアップキープにマナやライフの支払いを要求するものだが、毎ターン支払いコストが増えていってしまうんだ。例えば累加アップキープ(2)と書いてあれば、最初のアップキープには2マナ支払うだけでいいんだが、次のターンは4マナ、その次は6マナ、という具合に維持コストが増えていってしまう。こうしたカードが多くあり、かつ活躍できるような環境を整備するには、全体的にカードパワーを下げて環境を遅くするのがベストだったのだろう。

正直言って、累加アップキープのあるカードで大きな活躍をしたカードは少ないのだが、いくつか紹介しよう。

InfernalDarkness

Infernal Darkness
(2)(黒)(黒)
エンチャント
累加アップキープ (黒),1点のライフを支払う。
土地がマナを引き出す目的でタップされた場合、それは他のいかなるタイプのマナの代わりに(黒)を生み出す。


黒単色デッキ相手には効果がないが、それ以外のデッキには強烈なマナ拘束手段となるカードだ。当時のスタンダードで、トーナメントデッキのサイドボードに入っていたこともある稀少な累加アップキープ持ちカードだよ。

Glacial Chasm

Glacial Chasm
土地
累加アップキープ 2点のライフを支払う。
Glacial Chasmが戦場に出たとき、土地を1つ生け贄に捧げる。
あなたがコントロールするクリーチャーは攻撃できない。
あなたに与えられるすべてのダメージを軽減する。


この頃までたまに見かけられたマナの出ない土地で、その中でも実用的な部類のカードだ。デメリットの大きさが目立つが、それ以上にあらゆるダメージを軽減できるというメリットが凄まじい。こんな能力なのに、このカードはアンコモンなんだよ。小難しい使い方はせず、遅いデッキが1~2ターンしのぐ目的で使われることがあったかな。


IllusionsofGrandeurIllusions of Grandeur
(3)(青)
エンチャント
累加アップキープ(2)
Illusions of Grandeurが戦場に出たとき、あなたは20点のライフを得る。
Illusions of Grandeurが戦場を離れたとき、あなたは20点のライフを失う。


Donateおそらく世界一有名かつ強力な累加アップキープを持つカードだろう。スタンダードでアイスエイジが使えたころは全くのカスレアだったが、ウルザズ・デスティニー<寄付/Donate>というカードが誕生してから評価がひっくり返った。自分が20ライフを獲得した後、<寄付>を使い相手に送りつけるんだ。Illusions of Grandeurをバウンスしたり、あるいは放っておけば累加アップキープが支払えなくなって勝手に場を離れてくれる。キーカードが2枚しかない即死コンボデッキの誕生ってわけだ。


何て書いてあるのか分からないカードたち

NecropotenceこのIllusions of Grandeurと一緒に活躍したのが、同じアイスエイジの黒いレアである<ネクロポーテンス>だ。このカードについては以前話したことがあったね。あっという間に必要なカードを集めてくれる、超強力ドローエンジンである<ネクロポーテンス>は、本来ドローが得意な色の青だけで完結するIllusions of Grandeur<寄付>のコンボデッキにあって、黒なのに中核カードとして活躍した。結果、このデッキはネクロドネイトと呼ばれるまでになったんだ。あまりにも隆盛を誇ったため、最終的には<ネクロポーテンス>自体が禁止カードになってしまった。

その<ネクロポーテンス>の特徴が、やたらと細かい字で書かれたルール・テキストだ。とにかく英文が長くて、滅多に出てこないような単語もあり、どんなカードか理解するのにも苦労した。最後の一文ではご丁寧に"このライフの損失は軽減したり移し替えたりできない"だなんてルールの解説までしてくれている始末だ。アイスエイジには日本語版がなかったし、今のようにインターネットも充実していなかったので、このカードの正しい効果について理解したのはディープ・マジックという書籍が出版されてからだったと思う。この本は当時唯一、アイスエイジまでの全カードが日本語訳付きでリスト化されていて、そりゃもう狂ったように読んだものだよ。

英文が長いカードをもう一つ紹介しよう。今のオラクルの文章も長いのだが、当時の雰囲気を味わってもらうために私がカードの英文を訳してみるよ。

Dance of the DeadDance of the Dead
(1)(黒)
エンチャント(死んだクリーチャー)
いずれかの墓地にあるクリーチャーカードを、あなたのコントロール下で、タップ状態かつ、+1/+1カウンターを乗せた状態で直接場に出す。そのクリーチャーは召喚されたばかりであるかのように扱う。このクリーチャーはコントローラーのアンタップフェイズにアンタップしない。コントローラーのアップキープフェイズの終了時に、このコントローラーはこのクリーチャーをアンタップするために(1)(黒)を支払ってもよい。もしDance of the Deadが場を離れたなら、このクリーチャーをオーナーの墓地に埋葬する。

アンタップフェイズだのアップキープフェイズだの、それに埋葬だなんて古い言葉が目白押しだね。まあ、とにかく、要は墓地からクリーチャーを釣ってくるカードなんだがね。とにかく文章が長くて、字が小さい。しかも全部英語だ。<ネクロポーテンス>のような効果の分かりづらさはないものの、最初に見たときは読むのが大変だったものさ。面白いカードなので良く使ったし、今でもヴィンテージ環境で使われるカードの一つだそうだ。


トリスケリオンとのコンボを見せた強力カード

もう一つテキストが難しい、アイスエイジを代表するカードを紹介しよう。いやあ、ははは、このカードは何と<トリスケリオン>を使ったコンボデッキに使われたという、まさにこのトリ助・リオン一推しの、アイスエイジ最高レアカードだ!大人気だったせいか時のらせんのタイムシフトカードでもあるので、君も聞いたことがあるかな。当時のテキストをそのまま訳すとこんな感じだ。

EnduringRenewal永劫の輪廻/Enduring Renewal
(2)(白)(白)
エンチャント
あなたは手札をテーブル上に公開した状態でプレイする。あなたがクリーチャーカードをライブラリーから引くとき、そのカードを捨てる。クリーチャーが場からあなたの墓地に行くなら、そのクリーチャーをあなたの手札へ戻す。


Dance of the Deadと比べるとテキストが短いが、当時の私にはちょっと難解な文章だった。そもそも、死んだクリーチャーが手札に戻るエンチャントが存在する、なんて常識から外れた効果が理解を妨げていたんだろう。

トリスケリオン最初は使い方が分からなかったが、コンボデッキで活躍した。クリーチャーを生贄に捧げると2マナを生む<アシュノッドの供犠台>と0マナアーティファクト・クリーチャーで無限マナを出した後、<トリスケリオン>のダメージで勝つ、というものだ。なに、無限マナが出ているのだから何も<トリスケリオン>でなくてもいいだって?まあ、確かにそうだ・・・。テンペストが発売されると、このデッキは<トリスケリオン>が抜けてしまった・・・。


何度も死んでいく。不憫。


後半に続く

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この私、トリ助・リオンがマジックを始めたころ、良く剥いていたパックはフォールン・エンパイアとういセットだった。当時の私はカードセットだとかレアリティだとかは気にせず、とにかくパックを買って面白そうなカードがあれば使う、という純粋無垢な楽しみ方をしていたものだよ。インターネットもシングルカードショップもなく、どのカードが強くて高額なのか、なんて興味すらなかったさ。まあ、フォールン・エンパイアに関してはそんな事を気にする必要がなかったのだがね。強いカードが軒並みコモン、という当時の私のような学生に優しいセットだったんだ。

サーペイディア帝国の衰退をモチーフとしたセットで、雰囲気は全体的に暗い感じだったね。今からでは考えられないくらいゆっくりとした環境で、カードパワーも軒並み低い。パワーが4以上のクリーチャーはほとんど存在せず、パワー0のクリーチャーがごろごろしていたよ。普通の赤い火力や黒定番のクリーチャー除去は存在していない。ないのはクリーチャー除去だけでなく、土地、アーティファクト、エンチャントも通常の除去カードがない。普通の打消しやドロースペルもない。さらに8枚入りの変則レアリティだった。今とは何から何まで違う、古いセットらしい構成だったね。

フォールン・エンパイアといえば黒!

フォールン・エンパイアを代表する色と言えば、何といっても黒だろう。たった2マナでランダムに2枚の手札を捨てさせる<Hymn to Tourach>という凶悪カードが存在していた。先攻で<暗黒の儀式>から打たれて、手札の土地2枚が落ちるとそのまま試合終了、ということが良くあったものだ。<ネクロポーテンス>を主軸としたネクロディスクをはじめとした様々な黒いデッキに投入され、ウィニーであっても土地2枚スタートが不安になる環境を作り出してしまう。最終的にはスタンダード、当時はタイプ2といったがね、そこで1枚制限カードとしてその地位を不動のものとしたんだ。折角絵柄が4種類もあるのに、1枚しかデッキに入れられなくなってしまった。

Hymn to Tourach全部同じカードだ

余談だが、当時のスタンダードにはまだ1枚制限カードというのがあって、<黒の万力><象牙の塔>といったパワフルなカードが1枚だけデッキ投入可能だった。<天秤>という1枚制限カード同士のコンボ、なんていうのもあった。カードパワーが軒並み低いフォールン・エンパイアにあって、この<Hymn to Tourach>がいかに頑張ったカードか分かってくれたかな。こんなカードがコモンとして収録されてしまうあたりが、古いセットらしいといえるね。

Order of the Ebon Handフォールン・エンパイアの黒いカードで、もう一つ忘れてはいけないのが<Order of the Ebon Hand>というウィニー・クリーチャーだ。プロテクション(白)、黒マナ1つで先制攻撃、黒マナ2つでパワー+1、という3つも能力があって2マナ、というのはかなりのやり手だ。後に<ストロームガルドの騎士>という同じ能力を持った後輩がアイスエイジで登場している。しかし、先輩はコモンでだが後輩はアンコモンだった。<黒騎士>とともに、やはりネクロディスクなどで活躍した。



ネクロをも葬った白

Order of Leitburこの<Order of the Ebon Hand>と対をなすように、白には<Order of Leitbur>というクリーチャーがいた。起動マナの色が白くなり、プロテクションが黒に変わっただけのカードだ。既に白にはウィニーデッキがアーキタイプとして確立していたので、こいつも黒いライバルと引けを取らないくらい活躍していたね。当時猛威を振るったネクロディスクを破り、世界大会で優勝したのはこの<Order of Leitbur>が入った白単色ウィニーデッキだった。こいつが入ったデッキは私も良く使ったよ。しかし当時の私は<ハルマゲドン>との相性の悪さに気付かず、両方フル投入していたものさ。

そうそう、白には思い出深いクリーチャーがいるなあ。決して強いカードではなかったが、当時私が好きだったカードとしてというクリーチャーがいた。ご覧の通り、ヒゲデッキには必須の一枚だ。

Hand of Justice

Hand of Justice
(5)(白)
クリーチャー — アバター
(T),あなたがコントロールするアンタップ状態の白のクリーチャーを3体タップする:クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
2/6


初心者だった私のデュエルは長期化することが多くて、こうした恒久除去はこう着状態を打破するパワーをもったカードとして重宝したものだよ。<神の怒り><地震>といったマス・デストラクションは100枚もあるデッキに1枚しか入っていなかったからね。とにかくクリーチャーが良く並ぶんだ。今見ると能力が起動できるか怪しいものだし、そんなにクリーチャーが並んでいるなら殴った方が早い、とさえ思ってしまうね。最初は持っていなくて、友人にトレードを持ちかけても「強いからだめ」と言われトレードしてもらえなかったのを覚えているよ。自分で引き当てて、最初に使ったときは、そりゃもう嬉しかったさ。ちなみにこのカードはイマイチな性能だけあってアンコモン1というレアリティで、今でいうレアに相当するカードだった。


ゴブリンデッキを成立させた赤

ゴブリンの手投げ弾フォールン・エンパイアの赤といえば、後に再録もされた<ゴブリンの手投げ弾>が有名だ。生贄にゴブリンが必要だが、たった1マナで5点火力という性能は素晴らしい。ゴブリンデッキがトーナメントレベルになる原動力だった。ただし、フォールン・エンパイアにはオークやドワーフに枠を取られてゴブリンが少ない。それはともかく、<稲妻><火炎破>と一緒に使えたのだから、当時のゴブリンデッキはクリーチャーの性能ではなく、こうしたスペルの性能で成り立っていたといえるね。そしてこのカードも例に漏れずコモンだ。


オーグ他には<オーグ>というコストパフォーマンスの高いクリーチャーが活躍した。こいつはアンコモン1で活躍した数少ないカードだ。5マナで6/6という性能の割に軽微なデメリットだったので、ステロイドなどで採用されていたね。アイスエイジ<オークの木こり/Orcish Lumberjack><ほくちの壁/Tinder Wall>から高速でキャストされて困った経験があるよ。第5版に再録され、さらにタイムシフトカードとしても復活しているね。しかし未だにこのクリーチャー・タイプのオーグっていうのが何だか良く分からない。



High Tide時期がずれて活躍した青

フォールン・エンパイアの発売時期の青は正直パッとしなかったのだが、後になって<High Tide>というカードが主軸に据えられたデッキが誕生した。1ターンだけ島が追加の青マナを生み出す、という青らしくないマナ加速カードだった。キャストが成功すると土地をアンタップできるウルザズレガシーのカードを多く組み込み、どんどんマナを増やしていく、というコンボデッキで、その名もハイ・タイド。カード名がそのままデッキ名になるほどの出世をしたんだよ。が、これもコモンカードなんだ。


一応、その他

Aeolipileフォールン・エンパイアの緑について話すことは何もないので、アーティファクトについて話そう。アーティファクトで唯一活躍したのが<Aeolipile>という火力カードだ。キャストが2マナ、軌道に1マナで2点なので効率は決して良くないが、とりあえずどんな色でも採用できた火力である点と、当時はプロテクション(白)や(黒)が大量に出回っていたので、この無色のダメージ源が活躍できる土壌があったんだ。そして驚くべきことにこのカードはコモンでない。この能力でレア相当のアンコモン1だった。


フォールン・エンパイアの末路は、弱すぎた故に売れ残り、スタンダード落ちしてからも様々なショップで投げ売りされ続けていた不遇なセットとなった。ん、なぜ緑について話しをしなかったのかって?ああ、それはフォールン・エンパイアの緑がどうしようもなく弱いのと、それに私がキノコが好きではないからね。あそこには胞子カウンターを乗せるカードしかないから、見るのも嫌なのさ。

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