まずはお詫びから

やあ、トリ助・リオンだ。先日、不肖の兄が迷惑をかけたそうだね。まずはこの場を借りて謝罪させてもらうよ。

さて、もう一つ謝っておこうかな。今回はホームランドの紹介になるわけだが・・・。先に言っておこう。正直ちょっと退屈な話に付き合わせることとなるだろう。このセットはマジックの歴史上、最も地味なセットなんだ。とにかくカードパワーの水準が低いアイスエイジは弱いカードが多かったが、強いカードもそれなりに存在していた。

ところがこのホームランドには、そういった光るカードがない。トーナメントで活躍したカードが無くはないのだがね。そういったカードたちも、地味というか、ぱっとしない感じなんだよ。それを踏まて、本題に入ろうか。


イマイチなカードを頑張って紹介!

ホームランドはカードパワーや新システムに関して焦点をあてていないセットだ。どちらかといえば雰囲気やストーリー重視の印象を受けたね。どことなくのどかな感じのするイラストが多くて、その意味ではセットとしてのまとまりがあったと言えるかな。伝説のクリーチャーが数多く収録されていて、既におなじみだったセラセンギアといった単語にわくわくしたものだ。・・・最初はね。


Serrated Arrows"鋸刃の矢/Serrated Arrows"
(4)
アーティファクト
鋸刃の矢は、その上に鏃カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。
あなたのアップキープの開始時に、鋸刃の矢の上に鏃カウンターが置かれていない場合、鋸刃の矢を生け贄に捧げる。

(T),鋸刃の矢から鏃カウンターを1個取り除く:クリーチャー1体を対象とする。その上に-1/-1カウンターを1個置く。


ホームランド強力のカードは"鋸刃の矢/Serrated Arrows"が代表だ。ウィニーデッキにこれ1枚で壊滅的な被害を与えられるポテンシャルを持っている。特に白単、黒単デッキがプロテクション持ちクリーチャーに対処できるという点で重宝された。他にも"極楽鳥""ラノワールのエルフ"のようなマナ・クリーチャーを気軽に処分できるのはありがたいね。


Spectral Bears"Spectral Bears"
(1)(緑)
クリーチャー 熊 スピリット
Spectral Bearsが攻撃するたび、防御プレイヤーが黒のトークンでないパーマネントをコントロールしていない場合、それはあなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
3/3




緑には"Spectral Bears"が強かった。黒相手にはデメリットなしで使えるが、そうでなくてもブロッカーなら2マナ3/3という当時では破格のスペックだ。こいつも"白騎士""黒騎士"に対し強いスペックだね。ビジョンズで登場する"クィーリオン・レインジャー"という相方は、この熊をアンタップする手助けが得意だったね。


Primal Order"原初の秩序/Primal Order"
(2)(緑)(緑)
エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、原初の秩序はそのプレイヤーに、そのプレイヤーがコントロールする基本でない土地の数に等しい点数のダメージを与える。




今では緑らしからぬ能力だが、特殊地形対策の"原初の秩序/Primal Order"というエンチャントがあった。自分にも被害が出るせいもあり、ちょっと使いづらかったものの、後半息切れする緑単のサイドボードとしては選択肢となった。再録され特殊地形てんこ盛りの5CG時代とかぶったため、単色でなくても緑のデッキなら採用されることがあったよ。


Autumn Willow"Autumn Willow"
(4)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー アバター
被覆
(緑):プレイヤー1人を対象とする。ターン終了時まで、Autumn Willowはそれが被覆を持たないかのように、そのプレイヤーがコントロールする呪文や能力の対象とできる。
4/4


"Autumn Willow"熟女デッキに必須の一枚だ。呪禁のご先祖様といった風な能力を持っている。"ネビニラルの円盤""神の怒り"がよくメイン投入されていた時代だったが、4/4でこの能力はなかなか脅威だった。他にも"アーナム・ジン"を破れない、体重・・・ではなくコストが重い、といった理由でメインボードにはなかなか居場所がなかったが、出ればそれなりの活躍をするいい女だったものさ。


最もマシな青いカードたち

Merchant Scroll"商人の巻物/Merchant Scroll"
(1)(青)
ソーサリー
あなたのライブラリーから青のインスタント・カードを1枚探す。そのカードを公開し、あなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。




ホームランドで最も優遇された青いカードの代表は"商人の巻物/Merchant Scroll"というサーチカードだ。ソーサリーではあるものの、軽いコストとアドバンテージを失わない便利さが強みだ。当時のスタンダードでも青いデッキで少数採用されていたが、今はヴィンテージなどで活躍することが多いようだね。


Memory Lapse"記憶の欠落/Memory Lapse"
(1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。その呪文がこれにより打ち消された場合、それをそのプレイヤーの墓地に置く代わりに、オーナーのライブラリーの一番上に置く。



青いカードでもう一枚重要なのが"記憶の欠落/Memory Lapse"だろう。最初見た時には、次のターンに結局またキャストされるのでは大した効果ではない、なんて思ったものさ。しかしこいつの強さは青同士のカウンター合戦にある。通れば勝ち、といったスペルを打つときには軽い確定カウンターとして魅力的だった。


Sea Sprite"シー・スプライト/Sea Sprite"
(1)(青)
クリーチャー フェアリー
飛行、プロテクション(赤)
1/1





もう一枚、青いカードを紹介しよう。"シー・スプライト/Sea Sprite"はサイドボードによくいたクリーチャーで、当時数少ないトーナメントレベルのプロテクション(赤)を持ついぶし銀だ。飛行まで持っており"シヴ山のドラゴン"でさえ止められた。しかし最大の功績は、青白デッキで"剣を鋤に"の効かないプロテクション(白)を持つ"ワイルドファイアの密使"を止めたことだろう。


黒と赤は伝説のクリーチャーが強かった

"イーサンの影/Ihsan's Shade"
(3)(黒)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー シェイド 騎士
プロテクション(白)
5/5





黒には"イーサンの影/Ihsan's Shade"という大型クリーチャーが強かった。コストが重いものの、黒いため"恐怖"系除去がきかず、プロテクションで"剣を鋤に"がきかず、"稲妻"でも落ちない。その上"アーナム・ジン"に一方的に勝てる。どんなデッキにでも一定の仕事をするヤツだったね。そのコストから大活躍とまではいかなかったが、黒単ではメインやサイドに1~2枚入ることがあったんだ。


Eron the Relentless"情け知らずのエロン/Eron the Relentless"
(3)(赤)(赤)
伝説のクリーチャー 人間ならず者
速攻
(赤)(赤)(赤):情け知らずのエロンを再生する。
5/2




ホームランドの赤はひどいカードだらけだが、"情け知らずのエロン/Eron the Relentless"だけは違った。"白騎士""黒騎士"に弱かったが、赤は"稲妻"という最高の対抗手段がある。コストは重いものの、継続力のある"ボール・ライトニング"といった風だったよ。再生まであって、ステロイド相手でもなかなか活躍できた。"神の怒り""剣を鋤に"に弱いので、白が苦手な一枚だった。


An-Zerrin Ruins"An-Zerrin Ruins"
(2)(赤)(赤)
エンチャント
An-Zerrin Ruinsが戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。
選ばれたタイプのクリーチャーは、それのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。




赤いカードをもう一枚紹介しよう。こいつはかなりの変わり種だ。"An-zerrin ruins"は当時珍しかった部族対策カードな上に、アンタップ禁止という赤らしくない能力を持っていた。当時のスタンダードでは部族デッキと呼べるようなものが存在していなかったからねえ。まあ、白や黒のウィニーデッキは騎士やクレリックが多くなるのでそこそこの活躍ができたようだね。稀にサイドボードに入っていたのを見かけたよ。


白は、ええと・・・そう、絵がカッコよかった!

Death Speakers"死者の代弁者/Death Speakers"
(白)
クリーチャー 人間 クレリック
プロテクション(黒)
1/1




ホームランドの白は、赤と同じくらい悲惨なラインナップだ。おそらく最もまともなカードは"死者の代弁者/Death Speakers"だろう。単なる1マナ1/1のプロテクション(黒)だ。ウィニーデッキで13枚以上プロテクション(黒)のクリーチャーが欲しい場合には有用だった。1マナである点は評価できるが、これが最もましなカードである時点で色々と察してくれ


Aysen Highway"Aysen Highway"
(3)(白)(白)(白)
エンチャント
白のクリーチャーは平地渡りを持つ。





もはや強さとは関係ないのだが、イラストが人気のカードが多いのがホームランドの白の特徴といえよう。まずは"Aysen Highway"だ。重すぎるコスト、トリプルシンボル、さらに能力は悪いジョークのレベルだ。これで自分のクリーチャーが平地渡りを得られるなら、相手のクリーチャーも渡ってくるだろうね。でも、なんだかイラストはとても格好いいカードだった。


Serra Aviary"Serra Aviary"
(3)(白)
ワールド・エンチャント
飛行を持つクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。





お次は"Serra Aviary"だ。土地のようなイラストだが、ワールド・エンチャントだ。ワールド・エンチャントは場に1枚しか存在できない、というルールなので沢山出してたっぷり強化する、といった使い方ができないのが残念だね。更にいうと、当時の白は今ほど飛行クリーチャーが存在していなかったんだ。能力はともかく、のどかで美しいイラストがホームランドの雰囲気をよく演出していたと思う。


Aysen Crusader"Aysen Crusader"
(2)(白)(白)
クリーチャー 人間 騎士
Aysen Crusaderのパワーとタフネスは、それぞれあなたがコントロールする兵士と戦士の数に2を加えた点数に等しい。
2+*/2+*



美麗カードの最後を締めくくるのは、有名な絵師「NeNe Thomas」がお届けする"Aysen Crusader"だ。元のテキストでは、今は亡き『勇士』というクリーチャータイプを参照していた。クリーチャータイプの見直しにより、能力がかなり変わってしまったカードだ。勇士はイマイチなカードばかりだったため、このお美しいご尊顔を拝謁できる機会は、主にトレードファイルだけだった。イラストが好きだから、という理由でトレードさせてもらった数少ないカードだ。


付き合ってくれてありがとう!

Apocalypse Chime"Apocalypse Chime"
(2)
アーティファクト
(2),(T),Apocalypse Chimeを生け贄に捧げる:すべてのHomelandsエキスパンションにて印刷されたトークンでないパーマネントを破壊する。それらは再生できない。




ホームランドの最後は、再びアーティファクトに戻ろう。ホームランドのパーマネントを一掃する、というその名も"Apocalypse Chime"だ。ホームランドのカードが相手の場に沢山並んでいる場合には効果的だが、なかなかそんな機会はなかったものだよ。似たようなエキスパンション対策カードがアラビアンナイト、アンティキティーに存在したが、こいつが最後、それっきり印刷されていないね。

さて、沢山のイマイチなカードを紹介してきたが、どうだったろうか。ホームランドの地味さは売れ行きにも大きく影響し、ウィザーズ社内でも大きな問題になったらしい。

結果、次のアライアンス"Force of will"を含む前代未聞の強力なセットとなった。売れ行きもそれはもうすごくて、あっという間にブースターパックがプレミア価格になってしまったよ。ホームランドの最大の功績は、アライアンスというセットを強力なものに仕立て上げたことだろう。

次回はその強いアライアンスを紹介できるので、私も今から楽しみだよ。やはり紹介する方も、どうせなら派手なカードの話の方が盛り上がるからね。君も楽しみにしていてくれたまえ。