前回の続きで第4版の赤と緑のカードを紹介していこう。まずは赤からだ。

コモンに火力があふれていた赤

1825“稲妻/Lightning Bolt”
(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。




第4版の赤を代表するのはやはり"稲妻"だろう。マジック歴代最古の3点インスタント火力にして、最高のマナ効率を誇る。当時活躍していた"白騎士""黒騎士"の両方に対応できる点が実に素晴らしい。"セラの天使""アーナム・ジン"が高評価されたのは"稲妻"で落ちない点が大きいね。赤いデッキには4枚必須のカードだ。基本セット2010で再録されたときは驚いたものだ。


火の玉“火の玉/Fireball”
(X)(赤)
ソーサリー
好きな数のプレイヤーかクリーチャー(それらの組み合わせでもよい)を対象とする。火の玉はそれらに、Xを端数を切り捨てて均等に割った点数に等しい点数のダメージを与える。
火の玉を唱えるためのコストは、2つ目以降の対象1つにつき(1)多くなる。


X火力を代表する"火の玉"は、初心者だった私の大好きなカードの1つだった。私の当時のデュエルはクリーチャー同士のにらみ合いが何ターンも続くということが多く、最後は"火の玉"本体で決着することが多かったからだ。なお第4版には"分解"というX火力も存在し、どちらもコモンだったものだから限定構築ではX火力が双方から飛び交う、なんてことがよくあったものさ。


火力以外も除去が充実

粉砕“粉砕/Shatter”
(1)(赤)
インスタント
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。




アーティファクト除去の基本が"粉砕"だ。いつの時代も上位互換が存在していてなかなかトーナメントでは活躍できなかったが、赤いアーティファクト除去の最古参として存在感を有したカードだったね。アーティファクトを主題としたミラディン・ブロックのドラフトでは「"恐怖"よりも先にピック」という出世を果たしたのが印象的だった。


石の雨“石の雨/Stone Rain”
(2)(赤)
ソーサリー
土地1つを対象とし、それを破壊する。




シンプルなテキストが魅力の"石の雨"は土地破壊カードの基本だ。土地破壊専用のデッキでないと効果が薄いが、逆にいうと土地破壊デッキでは4枚必須だった。最近は3マナの土地破壊カードが印刷されなくなってしまい寂しいものだよ。まあ確かに、土地破壊デッキと対戦するのはあまり楽しいものではないからね。


Fissure“地割れ/Fissure”
(3)(赤)(赤)
インスタント
クリーチャー1体か土地1つを対象とし、それを破壊する。それは再生できない。




除去がつづいたところで、"地割れ"を紹介しよう。土地破壊のインスタントは珍しいし、何より赤でダメージ以外でクリーチャーを直接破壊できてしまうというのが驚きだ。ミラージュにも"爆煙"というクリーチャー破壊カードがあるので、この時代の赤としてはアリだったということだろう。


レアもダメージソースだらけ

Manabarbs“魔力のとげ/Manabarbs”
(3)(赤)
エンチャント
プレイヤーがマナを引き出す目的で土地をタップするたび、魔力のとげはそのプレイヤーに1点のダメージを与える。




ちょっと使いづらい効果の"魔力のとげ"は、"赤の防御円"に対抗する手段として利用されたカードの一つだ。防御円の起動コストを払おうとするとそこからダメージを受けるので、少しずつ相手のライフを削ることができる。赤いエンチャントのダメージソースは数多いが、その中でも活躍した部類に入るカードだね。


Earthquake"地震/Earthquake"
(X)(赤)
ソーサリー
地震は、飛行を持たない各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれX点のダメージを与える。




場の制圧から本体直接火力まで、幅広い用途で活躍したのがこの"地震"だ。白ウィニーはこれ1枚で壊滅する上、"オーグ"だけが場に残っている、といった状況を作り出すことができる魅力的なカードだ。同時に本体ダメージが入るため相討ちを頻発させるせいか、基本セット2010以降は再録がなく寂しい限りだよ。


Ball Lightning“ボール・ライトニング/Ball Lightning”
(赤)(赤)(赤)
クリーチャー エレメンタル
トランプル
速攻
終了ステップの開始時に、ボール・ライトニングを生け贄に捧げる。
6/1



歩く火力と呼ばれた"ボール・ライトニング"ザ・ダーク出身のレア・カードだ。1枚のカードで6点のダメージをもたらすこのカードは、赤単の象徴のようなカードであり、スライ系のデッキのみならずクリーチャーレスのフルバーンデッキでさえ、火力扱いで投入されていた。


Shivan Dragon"シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon"
(4)(赤)(赤)
クリーチャー ドラゴン
飛行
(赤):シヴ山のドラゴンはターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
5/5



最古のドラゴンである"シヴ山のドラゴン"は、アメリカ本国で根強い人気を誇るレア・クリーチャーだ。当時の赤いクリーチャーと思えないほどカードパワーが高く、フィニッシャーとして十分な実力を持っているが、赤の戦略とイマイチかみ合わずなかなかトーナメントでは活躍できなかった。


長寿カードの多い緑のコモン

Llanowar Elves"ラノワールのエルフ/Llanowar Elves"
(緑)
クリーチャー エルフ・ドルイド
(T):あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
1/1




マナ・クリーチャーの代名詞といえば"ラノワールのエルフ"になるだろう。緑のマナ加速能力を象徴した能力は、初心者でも有用性を理解しやすく私も良く使ったものだよ。"石の雨""ハルマゲドン"に対し強く、デッキによっては優先して除去すべき要注意クリーチャーになるね。現役の間はずっとエルフデッキの主力であったことも付け加えておこう。


Wild Growth"繁茂/Wild Growth"
(緑)
エンチャント オーラ(Aura)
エンチャント(土地)
エンチャントされている土地がマナを引き出す目的でタップされるたび、それのコントローラーは自分のマナ・プールに(緑)を加える。



土地に付けるエンチャントの中でも成功した部類の"繁茂"は、緑の速攻デッキやコンボデッキで実績を残した。"ラノワールのエルフ"とは逆に土地破壊には弱いが、土地が2枚以上あれば出したターンにすぐ効果を発揮させることができたのでテンポ面で強かった。これを沢山つけた土地をアンタップして大量マナを出すコンボデッキもいくつか存在しているね。


Giant Growth"巨大化/Giant Growth"
(緑)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+3の修整を受ける。




インスタントとは何か、という説明でよく引き合いに出されるのが"巨大化"だ。バランスのいいカードとされ、基本セットをはじめ様々なセットに再録されているし、亜種の多さもトップクラスだ。強化されたクリーチャーを除去されてしまうと損失が大きくなる点も勉強になるところだね。トーナメントデッキでも実績があり、緑単ウィニーでは本体火力のように使われることも多いカードだ。


Fog"濃霧/Fog"
(緑)
インスタント
このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。




"濃霧"は派手な能力ではないが、タイトなダメージレースではエンドカードとなり得る1枚だ。普通に使ったら単なる時間稼ぎだが、予想外のコンバット・トリックを無効化させられればアドバンテージも失わない。先制攻撃のダメージ解決後にキャストするのも面白いね。これも今なお亜種が作られる、緑の基本的なカードだ。


Tranquility"平穏/Tranquility"
(2)(緑)
ソーサリー
すべてのエンチャントを破壊する。




当時のエンチャント全体除去は緑の仕事だったから、その基本となる"平穏"は基本セットの常連だったんだ。"粉砕"と同じように良質な亜種が存在し続け、ウルザズ・デスティニーでやっとエンチャント主体のデッキが世に出たときにもサイドボードにさえ居場所がなかった不遇のカードだ。


意外なカードの多い緑のアンコモン

Desert Twister"砂漠の竜巻/Desert Twister"
(4)(緑)(緑)
ソーサリー
パーマネント1つを対象とし、それを破壊する。




元祖万能除去は、まさかの緑だった。"砂漠の竜巻"は6マナと重いながらも緑にしてクリーチャー除去が可能な驚きのカードだ。緑なのに砂漠なのはちょっと不思議な感じだが、出身がアラビアン・ナイトなのでやむを得ないところだろう。どちらかというとメルカディアン・マスクスに再録されているという事実のほうが不思議だ。


Hurricane"ハリケーン/Hurricane"
(x)(緑)
ソーサリー
ハリケーンはすべての飛行を持つクリーチャーとすべてのプレイヤーに、X点のダメージを与える。




赤の"地震"と対になる"ハリケーン"は、緑の飛行対策の先駆者だ。しかし飛行クリーチャーは数が並ばない上に、大型のものが幅を利かせていたからねえ。"マハモティ・ジン"を落とすためには7マナを要するするのもつらいところだ。意外と飛行対策というよりは、本体直接火力としての用途が多かったかもしれんね。緑単の終盤の息切れは今も昔も変わらず、だからね。


Untamed Wilds"荒々しき自然/Untamed Wilds"
(2)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。




ライブラリーから直接土地を持ってくるカードのご先祖様が、"荒々しき自然"というちょっとマイナーなカードだ。意外なことにレジェンドの出身で、基本セットに入ったのはこの第4版が最初だ。コストが重めでトーナメントカードとしての実績はないが、以降に優秀な後輩を作った基礎としての役割は大きいといえるだろうね。


Channel"チャネル/Channel”
(緑)(緑)
ソーサリー
ターン終了時まで、あなたがマナ能力を起動できるときならばいつでも、あなたは1点のライフを支払ってもよい。そうした場合、あなたのマナ・プールに(1)を加える。



"Regtowth"亡き後緑に残った1枚制限カードが"チャネル"だ。もっとも、スタンダードではすぐに禁止カードに出世してしまったが。マナ供給という点では緑らしいが、ライフの支払いを要する辺りはどうも黒っぽい能力だね。マナの使い道は巨大な”火の玉”を本体に打ち込み試合終了、というものが多かったね。


緑はレアも個性的

Birds of Paradise"極楽鳥/Birds of Paradise"
(緑)
クリーチャー 鳥
飛行
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
0/1



"ラノワールのエルフ"と双璧をなす、緑のマナクリーチャーが"極楽鳥"だ。こちらはレアらしく多色マナを供給できる豪華な能力が魅力だ。緑のくせに飛行という点も見逃せず、"マハモティ・ジン"の一撃を1度だけ防いでくれたりもする。当然、様々な多色デッキで大きな実績を上げた。私がこの鳥を最初に使ったのは、森の入っていない赤白緑のアーニーゲドンだったと記憶しているよ。


Elvish Archers"エルフの射手/Elvish Archers"
(1)(緑)
クリーチャー エルフ・射手
先制攻撃
2/1




今では珍しい緑の先制攻撃クリーチャーである"エルフの射手"は、意外なことにレアカードなんだ。しかし決して紙レアではなく"白騎士""黒騎士"の両方を相討ちを取れるし、またステロイドでは"稲妻"と合わせれば"アーナム・ジン"すら一方的に始末できるというスペックでよくデッキに投入されていたんだよ。

Sylvan Library"森の知恵/Sylvan Library"
(1)(緑)
エンチャント
あなたのドロー・ステップの開始時に、あなたは追加のカードを2枚引いてもよい。そうした場合、あなたの手札にあるこのターン引いたカードを2枚選ぶ。それらのカードそれぞれについて、4点のライフを支払うか、そのカードをあなたのライブラリーの一番上に置く。



緑としては珍しい能力を持つ"森の知恵"は、レジェンド出身の優良レアだ。ライブラリー操作としてみるとライブラリーをシャッフルできる土地サーチ系のカードと相性がいい。しかしこいつの真価は4ライフ支払いによる追加ドローが可能な点だ。打撃力の低いパーミッション相手に序盤からガンガンライフを支払って展開力をアップする様子は緑らしくないがある種の力強さを魅せてくれたものさ。


Titania's Song"ティタニアの歌/Titania's Song"
(3)(緑)
エンチャント
すべてのクリーチャーでないアーティファクトはその能力をすべて失い、そのパワーとタフネスがそれぞれ、その点数で見たマナ・コストに等しいアーティファクト・クリーチャーになる。ティタニアの歌が戦場を離れた場合、この効果はターン終了時まで持続する。



"ティタニアの歌"はある種のアーティファクト対策とも取れるので緑らしいともいえるのだが、実際の使われ方はアーティファクト対策ではなく積極的に自分のアーティファクトをクリーチャー化し殴り倒すという力強いものだった。私は"神の怒り""ハルマゲドン"が両方フル投入できるこの派手なデッキが大好きで、当時よく使っていたよ。

Force of Nature"大地の怒り/Force of Nature"
(2)(緑)(緑)(緑)(緑)
クリーチャー エレメンタル
トランプル
あなたのアップキープの開始時に、あなたが(緑)(緑)(緑)(緑)を支払わないかぎり、大地の怒りはあなたに8点のダメージを与える。
8/8


ファッティの色でもある緑にあってその象徴ともいえるのが"大地の怒り"という派手なクリーチャーだ。当時は"平和な心"が存在していなかったが、それでもこのコストでは大活躍とはいかなかった。今でなら信心を稼ぐのになかなか悪くないカードといえるかもしれないかな。


次回で第4版は最終回、アーティファクトと土地で締めとなる。ぜひ最後までお付き合いいただきたい。