ハルシオンのMTGブログ

MTGシングルカード通販ショップ「ハルシオン」のブログです。 http://mtg-halcyon.com/

タグ:ビジョンズ

ビジョンズ後半はコンボカードから

前回はビジョンズのコモンカードを中心に紹介したね。さて今回は、レア、アンコモンの紹介になるのだが、まずはコンボデッキのカード達から紹介していこう。


『プロスブルーム』完成す


Squandered Resources"資源の浪費/Squandered Resources"
(黒)(緑)
エンチャント
土地を1つ生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに、生け贄に捧げられた土地が生み出すことのできる好きなタイプのマナ1点を加える。





Prosperity"繁栄/Prosperity"
(X)(青)
ソーサリー
各プレイヤーはカードをX枚引く。





ミラージュ少しふれた恐るべきコンボデッキ『プロスブルーム』は、ビジョンズの登場によって完成した。3ターンキル当たり前、コンボが始まれば、対戦相手は大人しく座ってミスがないか監視するだけ。そんな殺伐とした時間が世界中で繰り返された、戦慄すべき時代が始まったんだよ。
マナベースは"資源の浪費""自然の均衡"による爆発力により、3色デッキでありながら大量マナがあっという間に揃ってしまう。キーカードが多いにもかかわらず、大量マナからの"繁栄"により強引に揃えてしまう。しかも、不要なカードは"死体の花"によりマナに変換する、という美しいサイクルが実装されている。
当時はライフが0になってもフェイズの終了時にしか敗北チェックされない、というびっくりルールがあってね。"冥府の契約"連発でライフ0になっても、コンボが回って入れば20点の"生命吸収"で勝利、となったんだ。



もう一つのコンボデッキ


Sands of Time"時の砂/Sands of Time"
(4)
アーティファクト
各プレイヤーは自分のアンタップ・ステップを飛ばす。
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは同時に、自分がコントロールするすべてのタップ状態のアーティファクト、クリーチャー、土地をアンタップし、自分がコントロールするすべてのアンタップ状態のアーティファクト、クリーチャー、土地をタップする。



Equipoise"平衡/Equipoise"
(2)(白)
エンチャント
あなたのアップキープの開始時に、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーがコントロールする土地が、あなたがコントロールする数を上回る1つにつき、そのプレイヤーがコントロールする土地を選ぶ。その後、選ばれたパーマネントはフェイズ・アウトする。この過程を、アーティファクトとクリーチャーについて繰り返す。

『プロスブルーム』の影に隠れてやや目立たない存在だったが、『サンドポイズ』というデッキもなかなかぶっ飛んだデッキだ。"時の砂"でアンタップを飛ばすことにより、"平衡"の効果でフェイズ・アウトしたパーマネントが戻ってこなくなる、というギミックだ。"ハルマゲドン"などで自分の土地を処分してロック完成だ。『プロスブルーム』ほどの安定感とスピードはないが、ミラージュブロック構築で”資源の浪費”が禁止になってからは活躍の機会が増えたんだ。



まだまだある、コンボパーツたち~アンコモン編~


Necromancy"ネクロマンシー/Necromancy"
(2)(黒)
エンチャント
あなたは、ネクロマンシーをそれが瞬速を持っているかのように唱えてもよい。あなたがソーサリーを唱えられないときにそれを唱えた場合、それがなったパーマネントのコントローラーは、次のクリンナップ・ステップの開始時にそれを生け贄に捧げる。
ネクロマンシーが戦場に出たとき、それが戦場に出ている場合、これはエンチャント(ネクロマンシーにより戦場に出たクリーチャー)を持つオーラになる。墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に出し、それにネクロマンシーをつける。ネクロマンシーが戦場を離れたとき、そのクリーチャーのコントローラーはそれを生け贄に捧げる。

少しややこしいルールテキストだが、インスタント・タイミングでも使えるリアニメイト・カードだ。当時のリアニメイトの常で、相手の墓地にあるクリーチャーでも対象にできる。今はヴィンテージで"世界喰らいのドラゴン"を墓地から拾ってくる重要なコンボパーツとして活躍している、息の長いアンコモンだ。


Helm of Awakening"覚醒の兜/Helm of Awakening"
(2)
アーティファクト
呪文は、それを唱えるためのコストが(1)少なくなる。





相手も恩恵を受けてしまう点が問題だが、その能力から様々なコンボデッキで補助的な役割を担ってきた、マナ加速系のアンコモンだ。特徴的なのは、手数が多ければ多いほど出力を増していく点だろう。この点を活かしたコンボデッキが『Sensei, Sensei』で、"師範の占い独楽"と組み合わせることで0マナドローのサイクルを形成する点が恐ろしいね。



まだまだある、コンボパーツたち~レア編~


Chronatog"時エイトグ/Chronatog"
(1)(青)
クリーチャー — エイトグ(Atog)
(0):時エイトグはターン終了時まで+3/+3の修整を受ける。あなたの次のターンを飛ばす。この能力は、各ターンに1回のみ起動できる。
1/2


"停滞"との相性抜群のコンボパーツは、珍しくクリーチャーだった。これだけで維持費の心配も自分のライブラリが尽きる心配もなくなるわけだから、まさに一石二鳥だ。天敵は"火炎破"で、能力起動にレスポンスされるとあえなく死んでしまうという問題があった。こうした面からも、ビジョンズはバランスを良く考えられたいいセットと言えるかもしれないね。


Natural Order"自然の秩序/Natural Order"
(2)(緑)(緑)
ソーサリー
自然の秩序を唱えるための追加コストとして、緑のクリーチャーを1体生け贄に捧げる。
あなたのライブラリーから緑のクリーチャー・カードを1枚探し、それを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。


『nWo』は元々、このカードを軸にしたコンボを盛り込んだデッキの名称だった。しかしエクソダス以降は"適者生存"を軸にしたリアニメイトデッキの呼び名として定着した経緯があるね。アイデア次第で面白いことができるカードだから、いつも一定の人気があったよ。テンペスト発売以降は"新緑の魔力"が3ターン目に登場して、困らされたことがあったね。


City of Solitude"孤独の都/City of Solitude"
(2)(緑)
エンチャント
プレイヤーは、自分のターンの間にしか呪文を唱えられず能力を起動できない。




このカードはコンボパーツとしてではなく、コンボデッキが安全に手順を進めるために必要なカードだった。『プロスブルーム』のカウンター対策として重要な仕事を担っていたね。もちろん、緑系デッキのサイドボードでは常連のポジションだったよ。強力なのは間違いないのだが、あまりに露骨な能力だったから「マジックをつまらなくするカード」と呼んでいた覚えがあるなあ。マジックの醍醐味たる駆け引き要素が削がれるからね。




緑優遇のアンコモン・ラインナップ


Stampeding Wildebeests"暴走するヌー/Stampeding Wildebeests"
(2)(緑)(緑)
クリーチャー アンテロープ ビースト
トランプル
あなたのアップキープの開始時に、あなたがコントロールする緑のクリーチャーを1体、オーナーの手札に戻す。
5/4


マナ・レシオが高い代わりに、デメリット付きという典型的なクリーチャーの一つだ。CIP能力とシナジー形成する点が評価され、特にストロングホールドで登場した"花の壁"との相性が抜群だった。それ以前も"ウークタビー・オランウータン""根の壁"との相性が良く、実績のあるカードなんだ。CIP能力初出のビジョンズで既にこのシナジーが提供されていたという点には感服するね。


Creeping Mold"忍び寄るカビ/Creeping Mold"
(2)(緑)(緑)
ソーサリー
アーティファクト1つか土地1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。




当時はプレインズウォーカーがなかったから、クリーチャー以外は何でも壊せるという汎用性の高さが魅力的な一枚だった。ダブルシンボル4マナは安くないコストだが、いざという時は土地も壊せるという点は評価できるね。相手にアーティファクトもエンチャントも入っていない場合でも、手札に腐ってしまうことがないのは実に嬉しい。このお蔭でメインボード採用も多かったね。


Elephant Grass"エレファント・グラス/Elephant Grass"
(緑)
エンチャント
累加アップキープ(1)
黒のクリーチャーは、あなたを攻撃できない。
黒でないクリーチャーは、それらのコントローラーが自分がコントロールする、あなたを攻撃するクリーチャー1体につき(2)を支払わないかぎり、あなたを攻撃できない。

色対策カードでしかも累加アップキープが付いているにも関わらず、いまだにレガシー環境で活躍しているご長寿カードだ。キャスティングコストが1マナで、維持費も払いやすく、黒に至っては完封できるという点に加え、エンチャントであるため『エンチャントレス』での採用機会が多いんだ。もちろん、当時もサイドボードではよく見られる一枚だったね。



緑以外も忘れちゃいけないアンコモンがあった

Quicksand"流砂/Quicksand"
土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(T),流砂を生け贄に捧げる:飛行を持たない攻撃しているクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-1/-2の修整を受ける。




土地にしてクリーチャー除去機能を持っている優秀なアンコモン。やや限定的ながら、タフネス-2という実力は見逃せない環境だったからね。ウィニー隆盛時代のバランスメーカーとして様々なデッキに投入された実績があるよ。テンペスト以降はシャドークリーチャー達に対しても効果的だったから、長い間トーナメントシーンで活躍した優良カードとなったんだ。


Viashino Sandstalker"ヴィーアシーノの砂漠の狩人/Viashino Sandstalker"
(1)(赤)(赤)
クリーチャー ヴィーアシーノ 戦士
速攻
終了ステップの開始時に、ヴィーアシーノの砂漠の狩人をオーナーの手札に戻す。
4/2


"ボール・ライトニング"に続く歩く火力たる"ヴィーアシーノの砂漠の狩人"は、当時の赤の隆盛を補助したアタッカーの一人だね。毎ターンマナがかかるものの、相手のターンには戦場にいないためにソーサリーで除去されない点が強みだ。ブラフ効果によってブロッカーを残させるという、目に見えない能力もあったんだ。




締めはこのレアたちを紹介


Rainbow Efreet"虹のイフリート/Rainbow Efreet"
(3)(青)
クリーチャー イフリート
飛行
(青)(青):虹のイフリートはフェイズ・アウトする。
3/1



当時、パーミッションのフィニッシャーといえばこの"虹のイフリート"だったね。除去耐性の高さが最大の魅力で、一度場に出てしまえば除去できない、という看板をしょっていた。数少ない苦手は緑と黒のギルドメイジ達だったよ。赤マナ起動のピンガー能力を起動されると黙ってフェイズ・アウトするしかなくてね。しかも解決時に戦場にいないので、起動した本人にダメージが入る事もない。まあ、"神の怒り""ネビニラルの円盤"を引くまでの話で、コイツが強力なのには変わりないがね。


Tithe"税収/Tithe"
(白)
インスタント
対戦相手1人を対象とする。あなたのライブラリーから平地カードを1枚探す。そのプレイヤーがコントロールする土地の枚数があなたよりも多い場合、あなたはあなたのライブラリーからさらに平地カードを1枚探してもよい。それらのカードを公開し、あなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。

"ハルマゲドン"とは使っても使われても相性がいいという、白い土地サーチカードの筆頭。平地限定であるものの、基本地形でない平地も持ってこられるからね。今でもエターナル環境で活躍しているよ。軽くて、インスタントで、打つと手札が増えるといういいとこづくめの実に渋いカードだ。土地事故回避能力としても強力だから、白ウィニーの土地比率低下にも一役かっていたね。




レアリティに関係なく強いカードが多いビジョンズはかなり売れたらしく、アライアンスほどではないものの比較的早い時期にブースターがプレミア価格になっていたよ。
"吸血の教示者""火炎破"のような、環境に大きな影響を与えるカードがある一方で、"税収""スークアタの槍騎兵"のような下支えに優れたカードもある。そしてCIP能力の登場もインパクトが大きかったね。こんな具合に多くの顔を持つビジョンズだから、人気セットとなったのも頷けるだろう。

次回はウェザーライトの紹介になるね。ミラージュブロックを締めくくるエクスパンションだ。どのカードから紹介したものか、じっくり考えさせてもらうよ。楽しみにしていてくれ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

強いセット、再び!

お、来た来た。待っていたんだ。ビジョンズの話ができると思うと、待ちきれない思いだったよ。そう、ビジョンズはとても強いセットだった。アライアンスと比べても遜色ないレベルと言っていいね。構築レベルのカード枚数でいえば、アライアンスよりも多かったかな。

レアの水準も高くて、人気カードが多かったんだ。新しいデッキを生み出したキーカードもあるし、クリーチャーのCIP能力が登場した歴史的な意義も高い。かなり派手なセット、という印象だ。紹介したいカードが盛りだくさんだからね。今回も二回に分けて、ビジョンズの紹介をしたいと思っているよ。じゃあ、まずはこのカードからだ。



まずは2枚のトップレアを紹介


Undiscovered Paradise"知られざる楽園/Undiscovered Paradise"
土地
(T):あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナ1点を加える。あなたの次のアンタップ・ステップに、あなたがあなたのパーマネントをアンタップするに際し、知られざる楽園をオーナーの手札に戻す。




美麗なイラストと強力な能力で、ビジョンズのトップレアとして君臨し続けた5色ランド最強の一角だ。土地の枚数が伸びないが、土地をプレイすると誘発する効果と相性がいい。"停滞""冬の宝珠"とのシナジーは素晴らしいね。最も活躍したのが『5CG』5CB』と呼ばれる多色デッキでの利用だ。"真鍮の都"やペインランドと共に、多色デッキのマナベースを支えていたね。私もずいぶん世話になったよ。


Vampiric Tutor"吸血の教示者/Vampiric Tutor"
(黒)
インスタント
あなたのライブラリーからカードを1枚探す。その後あなたのライブラリーを切り直し、そのカードをその一番上に置く。あなたは2点のライフを失う。



当時"知られざる楽園"と双璧を成した、ビジョンズのトップレアがこの"吸血の教示者"だ。ミラージュで登場した3種類の教示者がカードタイプを限定し、公開が必要だったのに対し、こいつは何でも持ってこられる上に非公開だ。コンボデッキでの4枚積みはもちろん、黒マナが出るデッキであれば1~2枚採用されるのが常だった。あまりの強力さゆえ、ヴィンテージの制限カードで、レガシーでは禁止となっているが、当然の状況だね。




新時代の幕開け、CIP能力


Nekrataal"ネクラタル/Nekrataal"
(2)(黒)(黒)
クリーチャー 人間 暗殺者
先制攻撃
ネクラタルが戦場に出たとき、アーティファクトでも黒でもないクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。
2/1


CIP能力はコイツから始まった。それまでのクリーチャー能力はタップを含む起動型能力が一般的でね。それがこのビジョンズから歴史が変わったんだよ。しかも、クリーチャー除去というかなりパワフルな能力だ。それまで"恐怖""闇への追放"といった除去はメインボードになかなか入らなかったものだが、当時の環境のせいもありコイツはよくメイン投入されていた。黒なのに先制攻撃というのが当時のデザインらしいね。"祭影師ギルドの魔道士"のピンガー能力をバックアップに戦闘でも活躍していたよ。


Man-o'-War"大クラゲ/Man-o'-War"
(2)(青)
クリーチャー ? クラゲ
大クラゲが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
2/2



"ネクラタル"と並び、CIP能力の代名詞的存在だ。状況によってはその"ネクラタル"を戻したりもしていた。シングルシンボルで使いやすく、5CB』でも5CG』でも投入されていたね。バウンスが低評価だったらしく、3マナ2/2+アルファは、当時の青いクリーチャー水準としては破格の低コストと言えるんだ。"ネクラタル"がアンコモンだったのに対し、"大クラゲ"はコモンだったというのも驚きだ。


Uktabi Orangutan"ウークタビー・オランウータン/Uktabi Orangutan"
(2)(緑)
クリーチャー 類人猿
ウークタビー・オランウータンが戦場に出たとき、アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
2/2



こいつもCIP能力持ちとしてよく使われたクリーチャーだ。基本はアーティファクト対策だが、手札で完全に腐ることがないためメインボードに投入しやすくて人気だった。もちろん、本業のアーティファクト破壊でも活躍してくれたよ。エクソダス以降のNWO』で1枚積みメンバーの常連だったね。


当時のCIP能力は今と処理が違っていて、スタックに載らなかったんだ。このため、例えば”ネクラタル”のキャストにレスポンスして、CIPの対象を取る前に破壊されそうなクリーチャーを生贄に捧げると、別の対象を取られてしまうという現象が起こっていた。解決の時に対象を選んでいた、といった感じかな。だから対処が難しくて、とても凶悪な能力だったね。




ビジョンズを語るにはコモンが重要

ビジョンズはとにかくコモンカードが強かった。トーナメントシーンでコモンカードが多く見られた、ある意味いい時代だったんじゃないかな。では、システムクリーチャーあり、優秀なアタッカーあり、強力なスペルありで、バラエティにも富んでいる。そんな魅力的なカード達を紹介しよう。



コモンのシステムクリーチャーが強い


Quirion Ranger"クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger"
(緑)
クリーチャー エルフ
あなたがコントロールする森を1つ、オーナーの手札に戻す:クリーチャー1体を対象とし、それをアンタップする。この能力は、各ターンに1回のみ起動できる。
1/1


コモンとは思えないような複雑なギミックを提供したのが、この"クウィリーオン・レインジャー"だね。システムクリーチャーの再利用や、アタッカーをブロックに回したりと芸達者だ。しかし、特筆すべき点はマナクリーチャーとの組み合わせだろうね。森1枚とマナクリーチャーが1体いれば、それだけで4マナを生み出せるから、緑単色デッキの森枚数削減に一役買っていたものさ。


Crypt Rats"墓所のネズミ/Crypt Rats"
(2)(黒)
クリーチャー ? ネズミ
(X):墓所のネズミは、各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれX点のダメージを与える。このXは黒マナでしか支払えない。
1/1



数少ないコモンの全体除去として有名な"墓所のネズミ/Crypt Rats"は、後述の”リバーボア”と同じく第7版再録時にはアンコモンへ昇格されている。起動は黒マナに限定されているものの、当時はウィニー系デッキが多くて、コイツの爆発力はかなりのものだった。起動コストにタップがなく、出てすぐ使えるのもポイントが高いね。コイツに"極楽鳥""クウィリーオン・レインジャー""農芸師ギルドの魔道士"がまとめて処分される場面も多くて、苦戦させられたものさ。



攻防に活躍したコモンクリーチャー


River Boa"リバー・ボア/River Boa"
(1)(緑)
クリーチャー 蛇
島渡り
(緑):リバー・ボアを再生する。
2/1



"リバー・ボア"は2マナ2/1でありながら、有用な能力を2つも持つパワーカードだ。特に再生は厄介で、"火葬"はコイツのために取っておく必要があった。あまりにも採用率が高く、ゲームが膠着する原因になっていたかな。そのせいか、最近は再生持ちがずいぶん少なくなったね。ビジョンズではコモンだったが、後に基本セットに再録されるとアンコモンに昇格されていたよ。


Freewind Falcon"フリーウィンド・ファルコン/Freewind Falcon"
(1)(白)
クリーチャー 鳥
飛行、プロテクション(赤)
1/1




赤の猛威を止めるべく、颯爽と現れた待望のプロテクション(赤)持ちクリーチャーだ。コイツが立っているだけで、赤単は難しい選択をし続ける必要がある。ビジョンズ時代はサイドボードにいることが多かったものの、ウェザーライトが発売されるとメインボードが定位置に変わる。それは"浄火の鎧"の登場によるところが大きいね。3ターン目に5/5が殴れる環境が生まれ、飛行の重要度が増したんだ。



側面攻撃も活躍したのはコモン!


Fallen Askari"墜ちたるアスカーリ/Fallen Askari"
(1)(黒)
クリーチャー 人間 騎士
側面攻撃
墜ちたるアスカーリではブロックできない。
2/2



ミラージュブロックで側面攻撃を持ったクリーチャーは少なくないが、結果を残したのは少ない。コイツはその中でも2マナと軽く、しかも"白騎士"にブロックされても死なないというなかなかの性能だ。ブロックできないのは痛いが、攻撃的なデッキでは問題にならなかったね。私は5CB』でお世話になった思い出があるよ。


Suq'Ata Lancer"スークアタの槍騎兵/Suq'Ata Lancer"
(2)(赤)
クリーチャー 人間 騎士
速攻
側面攻撃
2/2



シンプルかつアグレッシブな赤らしいこのクリーチャーは、スライ系デッキで必須というポジションを確立していたね。ウィニーにしては3マナと重いながら、速攻という奇襲性と側面攻撃という攻撃的な能力がよくマッチしていたのだろう。当時よく見られた"白騎士""黒騎士""リバー・ボア""フリーウィンド・ファルコン"といった面々に一方的に勝てる点が素晴らしい。



コモンのスペルも強い!


Emerald Charm"エメラルドの魔除け/Emerald Charm"
(緑)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・パーマネント1つを対象とし、それをアンタップする。
・オーラでないエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
・クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは飛行を失う。



ミラージュに引き続き、ビジョンズでも魔除けが登場したが、その中でもサイドボードでよく見られたのがこの"エメラルドの魔除け"だったね。特にエンチャント破壊のモードが重視され、たった1マナで"死体の花""停滞"といった致命的なカードを破壊できる点が高評価だったんだ。たまに"農芸師ギルドの魔道士"をアンタップさせ、タフネス2のクリーチャーを無理やり焼き殺す場面も見られたよ。


Fireblast"火炎破/Fireblast"
(4)(赤)(赤)
インスタント
あなたは、火炎破のマナ・コストを支払うのではなく、山を2つ生け贄に捧げることを選んでもよい。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。火炎破はそれに4点のダメージを与える。


ビジョンズになぜか1枚だけ存在するピッチスペルであり、マジック史に残る強力な火力。インスタントであり、本体に入り、しかもコモン。このカードの存在で、赤単相手にはライフ10点以下は危険域という空気が蔓延したんだ。当然、赤単は隆盛し一時代を築いた。私も何度も煮え湯を飲まされたものさ。赤相手に"火炎破"ずるい!、なんて文句を言うと、"Force of Will"も大概だろ、と言い返されるのが常だったね。


Impulse"衝動/Impulse"
(1)(青)
インスタント
あなたのライブラリーのカードを上から4枚見る。それらのうちの1枚をあなたの手札に加え、残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。



強力なサーチ系カードの"衝動"も、ビジョンズを代表するコモンカードだ。2マナと軽い上にインスタントであり、いつ引いてもいい仕事をする理想的な能力を持っている。ライバルの"渦巻く知識"は再録されているが、コイツは亜種は多いものの再録された経験がない。日本語版では派手なミスがあり、最後にライブラリーを切り直す、と書かれていたんだ。かなり性能が変わってくるからね。ここまで派手なミスは初めてだったと思うよ。




後半に続く!


ビジョンズは今までで最も多くのコモンカードを紹介したセットになったね。レアが弱いわけでもないのに、ここまでコモンが充実しているというのは素晴らしいセットだと感心するよ。

好きなセットを3つ上げろと言われれば、アライアンスウルザズサーガ、そしてこのビジョンズだ。エクソダスも捨てがたいのだが・・・、おっと、その辺りの話はまた別の機会にしようか。

次回はビジョンズの後半をお伝えしようと思っているが、実は伝えきれるか今から心配なんだ。まだまだ紹介したいカードは沢山あるからね。

このエントリーをはてなブックマークに追加

このページのトップヘ