ハルシオンのMTGブログ

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タグ:アライアンス

スタンダード・リーガルのセット

日本でマジックが徐々に普及し始めたころの話だ。アイスエイジが登場したころは、私の周辺でもたまにスタンダードの大会が実施されるようになっていてね。ミラージュ発売時にはその数はもっと増えてきた。私は地方に住んでいたが、ちょっと足をのばせばどこかしらで大会を見つけることができたよ。

今思うと、トーナメントプレーヤーを取り巻く環境が少しずつ整備されていく流れを目の当たりにしていたんだね。しかし、それに伴って今では考えられないような環境の変化にも出くわしたんだ。

ミラージュブロック発売前後では、スタンダード・・・当時はタイプ2と呼んでいたが、そのレギュレーションに混乱があった時期だったともいえる。当時は基本セット1つと、発売時期の新しい順で2つまでのエキスパンションが使用可能とされていた。つまり、ミラージュ+アライアンス+第5版という環境が誕生した。


ブロック制の導入

ところが、ウェザーライト発売後にこれが覆った。使用可能セットにブロックの概念が導入され、発売時期の新しい順で2つまでのブロック+基本セット1つというくくりに変わった。当時はアイスエイジブロックという考え方が普及していなかったが、発表によればこうだ。1997年7月以降のスタンダード・リーガルなカードセットはアイスエイジ、ホームランド、アライアンス、ミラージュ、ビジョンズ、ウェザーライト、第5版となった。

ホームランドアイスエイジと関係なかったが、ブロックの概念登場に伴い無理やりアイスエイジブロックに編入されてしまったんだね。これがのちのコールドスナップ発売によって覆った時の驚き、きっと当時を体験した我々にしか分からんだろうね。コールドスナップは発売が2006年、まさに10年越しの大事件だったよ。

ミラージュの発売が1996年の10月なので、1年もたたないうちに同じレギュレーションで使えなくなっていた、アイスエイジアライアンスが復活してしまった。第4版から第5版への切り替えでは、アイスエイジのパワーカードはおおむね再録されてたが、アライアンスからは全く再録がなかった。しかもこの環境がスタンダード・リーガルだった時期は、次のテンペスト発売までのおよそ3ヶ月だけだったんだ。


影響の大きかったアイツ

プレーヤーたちは悲喜こもごもだったね。第4版から第5版への変遷で最大の影響力を持ったのは、やはり"剣を鋤に"がなくなったことだったろう。もちろん"稲妻""ミシュラの工廠"といったカードの退場も影響があったが、"稲妻"の穴は"火葬"が頑張っていたし、"ミシュラの工廠"に至っては色は関係なく影響を受けていた。だから白のクリーチャー除去機能がそっくり失われた"剣を鋤に"の消失は、とても深刻な影響があったといえるんだ。

Swords to Plowshares剣を鍬に/Swords to Plowshares
(白)
インスタント
クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、そのパワーに等しい点数のライフを得る。




そんな中、アイスエイジブロックがまるごと復活してしまった。同時にアイスエイジに収録されていた"剣を鋤に"も復活したからね。白使いは大喜びだ。アライアンスも復活していたから、当然のように『カウンター・ポスト』が復活することとなったよ。しかも"ジェラードの知恵""沈黙のオーラ"といった低速の白いデッキに迎合したカードが多かったからね。あの3か月間はマジック史上でもまれに見るような白い夏だったんじゃないかな。

"剣を鋤に"が落ちたとき、白使いは来るべき日がついに来た、と嘆いたものさ。たった1マナでほとんどのクリーチャーを追放、デメリットはコントローラーのライフ回復だけ・・・しかもインスタントだ。アイスエイジの頃から考えると、カードパワーの水準はすごく上がってるのに、再録されることもない。当然、強すぎて環境に与える影響が大きいからだ。


じゃあ、代わりを探なくては!

あの頃、我々は"剣を鋤に"後釜探しに躍起になっていたよ。ミラージュ"死後の生命"はインスタントだが、3マナもかかる上にトークンまで与えてしまう。"平和な心"ではシステム系クリーチャーに対しては無力だ。ウェザーライトには"関税"なんてカードもあったが、これも白ウィニーではデメリットが大きく、コントロールでは後半無力という問題があった。

Tariff"関税/Tariff"
(1)(白)
ソーサリー
各プレイヤーは、自分が点数で見たマナ・コストが最も高い自分がコントロールするクリーチャー1体のマナ・コストを支払わないかぎり、そのクリーチャーを生け贄に捧げる。プレイヤーがコストが最も高いクリーチャーを2体以上コントロールしている場合、そのプレイヤーはどちらか1体を選ぶ。


しかし、本当に探さなくてはいけなかったのは、抜けた"剣を鋤に"穴埋めカードなんかじゃなかったんだ。その"剣を鋤に"のなくなった新しい環境で活躍できるカードが何か、どんなデッキが新たに台頭するかを考えるべきだった。しかし、当時の未熟な私にはその着眼点を持つことができなかったんだ。

アイスエイジ復活時には、たまたま白が優遇されていたから『カウンターポスト』が再興したが、でも今考えればもっと違ったデッキをぶつけてみるという選択肢はあったろうね。いつでもその時でしか成立し得ないデッキというのがあって、セットが加わる、抜けるのタイミングではそうした楽しみを体験することが、マジック醍醐味なんだろうと思うよ。


復活はいつ決まったのか

ちなみにウェザーライトには対『カウンターポスト』用のカードである"マナの網"というカードがあった。おそらく、アイスエイジブロックのスタンダード復活は、ウェザーライト印刷前には決まっていたんじゃないかな、と思っているよ。

Mana Webマナの網/Mana Web
(3)
アーティファクト
対戦相手がコントロールする土地がマナを引き出す目的でタップされるたび、そのプレイヤーがコントロールする土地のうち、その土地が生み出すことのできるマナと同じタイプのマナを引き出せる土地をすべてタップする。



"平地""島""Kjeldoran Outpost""アダーカー荒原"がある状態で、メインフェイズに"アダーカー荒原"からマナを出すと、これら全てがタップされてしまう。相手のターンに"対抗呪文"を打つと、"Kjeldoran Outpost"でトークンを出すかをその場で判断しなくてはならなくなる。地味なカードだが、『カウンターポスト』対策にサイドボードへ忍ばせていたものさ。


失敗した後釜探し

他にも"アーナム・ジン"が抜けたときに"イラクサの牙のジン"を使ってみたり、"セラの天使"の代わりに"メリース・スピリット"を使ってみたりと、色々な試行錯誤をして失敗を経験した時代だったんだ。そんな中、勝ったのは新環境にマッチしたデッキたちだった。過去の栄光を引きずり、2級品で我慢しようとする私は敗た。新しく生み出されたデッキの面々は、当然その環境での1級品ばかりだった。
Nettletooth Djinnイラクサの牙のジン/Nettletooth Djinn
(3)(緑)
クリーチャー ジン
あなたのアップキープの開始時に、イラクサの牙のジンはあなたに1点のダメージを与える。
4/4



ErhnamDjinnセラの天使







Melesse Spiritメリース・スピリット/Melesse Spirit
(3)(白)(白)
クリーチャー 天使 スピリット
飛行、プロテクション(黒)
3/3



次のテンペストでは、また大きな環境の変化が訪れる。手札が少ないと有利、という当時では考えられない環境がもたらされたんだ。2度目の"剣を鋤に"との決別は、私を大きく成長させてくれた。そう、受け入れろ!と気づいたんだ。マジックは教えてくれる。それは人生でも同じだ、とね。

新しいカード達は魅力的だけど、何度も自分を勝たせてくれたあのデッキ、あのカードが名残惜しい、だなんて言っていては時代に取り残されちまうってことさ。環境を受け入れる度量をもって、この先のマジックも人生も楽しんでいきたいものだね。

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新セット発売直後

今日の話は、アライアンスについての話をよく思い出してから聞いてもらった方がいいだろう。さて、第4版のトレードで少しばかりの教訓を得た私は、トレードに対し少し慎重になっていた。相手の言われるがままにトレードするのではなく、自分が本当に必要としているカードを交換すると決めていた。

今からするのは、ミラージュが発売された直後のある大会に参加した時の話だ。当時は日本語版に先立って英語版が発売されていた。私はまだ中学生で、英語を読むのに苦労していたね。あの稀代の強力セットたるアライアンスに続く、新セットの発売にはとても興奮してね。だから、日本語の発売まで待っていられなかったんだ。ミラージュのコレクションは少しだけだったが、買ったばかりのバインダーに並べて得意気だったものさ。

私が会場で自分のバインダーを眺めていると、鋭い目つきをした見知らぬ男が声をかけてきた。黒っぽい服装で、大学生くらいの風貌だ。その男がトレードをしよう、というのだ。その頃カウンターポストを作りたかった私は、彼の申し出を受けることにした。もちろん、言われるがままのトレードはしない、と心に誓った上でだ。彼はミラージュのカードに強い興味を示していた。ある青いカードを指し、このカードは出せるか、と尋ねてきたんだ。


まずはただならぬ雰囲気のカードから

Bazaar of Wonders"不思議のバザール/Bazaar of Wonders"
(3)(青)(青)
ワールド・エンチャント
不思議のバザールが戦場に出たとき、すべての墓地にあるすべてのカードを追放する。
プレイヤーが呪文を唱えるたび、それと同じ名前を持つカードがいずれかの墓地にあるか同じ名前を持つトークンでないパーマネントが戦場にある場合、それを打ち消す。

私「"Bazaar of Wonders"かぁ。これって明らかにレアだよね」
男「そうだね。何か欲しいカードはあるかい」
私「僕は今、カウンターポストを作りたいんだけど、ちっともカードが足りないんだ」
男「ああ、そうすると・・・そうだな。"Exile"なんてどうだい?」
私「"Exile"もいいけど、やっぱり"Kjeldoran Outpost"が欲しいな」
男「う、"Kjeldoran Outpost"か・・・ちょっと高いなぁ」
私「なんかこのカード、すごい斬新なロックデッキとか作れそうな感じだし」
男「そうだな、仕方ないか。分かった。"Kjeldoran Outpost"を出そう」
私「うん、ありがとう。他にも欲しいカードがある?」


漂白したいデュエリスト垂涎の一枚!

Celestial Dawn"天界の曙光/Celestial Dawn"
(1)(白)(白)
エンチャント
あなたがコントロールする土地は平地である。
あなたがオーナーである、土地ではなく戦場に出ていないカードと、あなたがコントロールする呪文と、あなたがコントロールする土地でないパーマネントは白である。
あなたは、白マナを好きな色のマナであるかのように支払ってもよい。あなたは他のマナを無色マナであるかのようにのみ支払ってもよい。

男「そうだな、この"Celestial Dawn"は興味があるね」
私「あぁ、それも何かすごそうだよね」
男「白単で色んなことができそうだからね。面白いデッキが作れそうだよ」
私「友達も欲しいって言ってたんだ。でも、あいつらいいカード持ってないから」
男「なるほど、早くも人気カードってわけか」
私「そうなんだ。だから、これとなら"Thawing Glaciers"でトレードしたいな」
男「確かに"Thawing Glaciers"と"Celestial Dawn"なら、きっと等価だろう」
私「じゃ、OKだね」
男「ああ」


美麗なイラストにはただならぬ魅力が!

Cycle of Life"生命のサイクル/Cycle of Life"
(1)(緑)(緑)
エンチャント
生命のサイクルをオーナーの手札に戻す:このターンにあなたが唱えたクリーチャー1体を対象とする。それはあなたの次のアップキープの開始時まで基本のパワーとタフネスが0/1である。あなたの次のアップキープの開始時に、そのクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1個置く。

男「この"Cycle of Life"は、イラストがいいよね」
私「うん、キレイだよね。+1/+1カウンターがどんどん増えるってすごそうだし」
男「これは出せるかい?」
私「うん、いいよ。でも、それに見合うカードって何かな・・・」
男「この"Lodestone Bauble"はどうだい?カウンターポストのサイドボードで良く見かけるよ」
私「あ、知ってる!ちょっと地味だけど、いいカードだよね」
男「これは持っているかい?」
私「1枚もないよ。確かに必要だね」
男「よし、交換しよう」
私「ありがとう」


サイドボードで見たことはあった

Chaosphere"混沌界/Chaosphere"
(2)(赤)
ワールド・エンチャント
飛行を持つクリーチャーは、飛行を持つクリーチャーのみブロックできる。
飛行を持たないクリーチャーは、到達を持つ。

私「あ、イラストならこの"Chaosphere"インパクトあるよ」
男「お、確かにこれはちょっと欲しいな」
私「これも"Bazaar of Wonders"と同じエンチャント(ワールド)だね」
※エンチャント(ワールド)は当時のカードタイプ。
男「確かにエンチャント(ワールド)らしい、なかなかぶっ飛んだ効果だね」
私「これも出せるよ。でも・・・」
男「ん、どうしたの」
私「あとレアで欲しいのは"Helm of Obedience"くらいなんだよね」
男「うぉ、"Helm of Obedience"だとさすがにきつい・・・」
私「じゃ、あとは"Force of Will"が足りないんだ」
男「"Force of Will"なら、アンコモンだからいいよ」
私「レアとアンコモンのトレードだから、2枚出せる?」
男「うーん、まあいいだろう」


万能サーチ!しかも5枚!ただちょっとチンタラし過ぎた!

Mangara's Tome"マンガラの秘本/Mangara's Tome"
(5)
アーティファクト
マンガラの秘本が戦場に出たとき、あなたのライブラリーからカードを5枚探し、それらを裏向きのまま束にして追放し、その束を切り直す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
(2):このターン、次にあなたがカードを引く代わりに、マンガラの秘本によって追放された束の一番上のカードを1枚あなたの手札に加える。

男「ん、なんだこのカード?初めて見た」
私「あ、それは・・・」
男「え、これ1枚で"Demonic Tutor"5枚分の効果!すげえ!」
私「それ、後で使おうと思ってたんだよね」
男「そうなのか・・・残念。確かに強そうだからなぁ」
私「ごめんね」
男「あ、さっきの"Helm of Obedience"とならどうだい?」
私「"Helm of Obedience"かあ・・・それならいいかな」
男「無理を言ってすまないね」
私「いいんだ。お蔭でだいぶデッキが出来上がってきたよ」


「え?レアなの?」と言いたくなるカード達

男「カウンターポストをやるなら、この"Dissipate"は必要なんじゃないかな」
私「あ、確かに・・・まだ1枚しかないや。アンコモンだよね?」
男「そう。もし必要なら3枚出せるけど」
私「え、いいの?ミラージュのカードなのに?」
男「たまたま引きまくって、これだけ余ってるんだよ」
私「そうなんだ。でも、僕のバインダーに見合いそうなカードがないなあ」
男「カスレアと1対1ならどうだい?」
私「それは助かる!」
男「じゃ、3枚カスレアを選ぶね」

Brushwagg"ブラッシュワグ/Brushwagg"
(1)(緑)(緑)
クリーチャー — ブラッシュワグ
ブラッシュワグがブロックするかブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで-2/+2の修整を受ける。
3/2




Leering Gargoyle"抜目ないガーゴイル/Leering Gargoyle"
(1)(白)(青)
クリーチャー ガーゴイル
飛行
(T):抜目ないガーゴイルはターン終了時まで-2/+2の修整を受けるとともに飛行を失う。
2/2



Warping Wurm"ねじれのワーム/Warping Wurm"
(2)(緑)(青)
クリーチャー — ワーム
フェイジング
あなたのアップキープの開始時に、あなたが(2)(青)(緑)を支払わないかぎり、ねじれのワームはフェイズ・アウトする。
ねじれのワームがフェイズ・インしたとき、その上に+1/+1カウンターを1個置く。
1/1


男「ミラージュのコンプリートに、こいつらが必要なんだ」
私「やっぱり・・・」
男「ん、どうしたの?」
私「いや、やっぱりこいつら、レアなんだね」
男「ああ、残念だけど、ね」
私「・・・信じたくなかったけど・・・。残念だよ」
男「アンコモンと1対1ですまないが、トレードしていいかな」
私「もちろん。お礼を言うのはこっちだよ」
男「お蔭でコレクションが充実したよ」
私「早くコンプリートできるといいね」


まだまだある、レアらしくないレア達

私「そうだ、さっき"Excile"が出せるって言ってたよね」
男「あ、うん。そうだけど」
私「カスレア何枚か出すから、"Exile"出せない?」
男「ん、そうだな、じゃぁ・・・これでどう?」

Telim'Tor's Edict"テリムトーの勅令/Telim'Tor's Edict"
(赤)
インスタント
あなたがオーナーであるか、あなたがコントロールするパーマネント1つを対象とし、それを追放する。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。




Rock Basilisk"岩バジリスク/Rock Basilisk"
(4)(赤)(緑)
クリーチャー バジリスク
岩バジリスクが壁でないクリーチャーをブロックするか、壁でないクリーチャーによってブロックされた状態になるたび、戦闘終了時にそのクリーチャーを破壊する。
4/5




Emberwilde Caliph"エンバーワイルドのカリフ/Emberwilde Caliph"
(2)(青)(赤)
クリーチャー ジン
飛行、トランプル
エンバーワイルドのカリフは可能なら毎ターン攻撃する。
エンバーワイルドのカリフがダメージを与えるたび、あなたは同じ点数のライフを失う。
4/4



Razor Pendulum"刃の振り子/Razor Pendulum"
(4)
アーティファクト
各プレイヤーの終了ステップの開始時に、そのプレイヤーのライフが5点以下である場合、刃の振り子はそのプレイヤーに2点のダメージを与える。




Teferi's Isle"テフェリーの島/Teferi's Isle"
伝説の土地
フェイジング
テフェリーの島はタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(青)(青)を加える。




私「うーん、さすがに5枚はちょっと」
男「じゃ、"Exile"2枚だすよ」
私「え、それなら全然OKだよ」

男「今日はありがとう。充実したトレードができたよ」
私「こちらこそ。またトレードしようね」
男「ああ、ぜひ


トレードを振り返って

インターネットの情報もまだまだ未整備な頃には、こんなの良くある光景だった。別に私は意図してシャーク行為を行なったわけではないがね。明らかにいお互い納得していたし、このちょっと後に判明するカード価格でも"不思議のバザール/Bazaar of Wonders""天界の曙光/Celestial Dawn"はかなり高額だった。しばらくの間は、ね。一見派手な効果で、実はカスレア、という見事なカードデザインにみんなしてやられたというわけだ。


新セットが出た直後は、デッキビルダーと呼ばれる人種が最も活躍する時期だ。一見、箸にも棒にもかからなそうなカーたちを、見事なアイデアで一流カードに変える。そういった作業は当時から連綿と続いているね。だから、評価が確定する前のトレードはとても難しい。
Lion's Eye DiamondNatural Balance


一方、"ブラッシュワグ/Brushwagg"のような明らかなカスレアは、今ではほとんど見られなくなった。現在ではカスレアでも、もう少しレアらしい能力だ。当時はエクスパンション・シンボルが黒一色だったからね。最初見たとき、このパックにはレアが入っていない、と首をかしげたものだ。ミラージュではそんなの日常茶飯事だった。コモンやアンコモンの水準が高かったから、レア狙いでなければ良いセットなんだがね。


ミラージュの売れ行きはやはり悪かったのか、次のビジョンズではレアのカードパワーがかなり高くなった。アライアンスほどではなかったが、いくつかの新しいデッキを生み出し、後の環境に対し長く影響を与えたカードも多い。この辺りはいずれ、弟が詳しく話してくれるだろうさ。

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胸が高鳴る!超強力セット”アライアンス”

ふふふ、やあ、遅かったじゃないか。待っていたんだよ。え?なぜって?そりゃあ、今日はアライアンスの話ができるからさ。私は強いセットが好きなんだよ。強いカードの話ができるのは嬉しいものさ。あまりにも好きなカードが多いので、今回は大型セット以外で初めて2回に分けてお話しさせてもらうよ。このアライアンスはそれに相応しい、実にパワフルなセットだ。それでは、始めよう。

まずはアライアンスの代名詞、ピッチスペルを紹介

Force of Will"Force of Will"
(3)(青)(青)
インスタント
あなたは、"Force of Will"のマナ・コストを支払うのではなく、1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある青のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

おそらくこのカードだけで記事が1本書けてしまうだろう。有名カードなので詳しい説明は省くが、間違いなくアライアンスを代表するカードだよ。歴史的な1枚と言っていいだろう。マジックのプレイングに甚大な影響を与え続けている。このカードが存在するせいで、勝てるデュエルを落としたなんてことは数知れず、だ。私は存在しているせいで、と言ったね。相手に打たれたせいで、とも、相手が手札に持っていたせいで、とも言っていない。存在するだけで強い、という稀なカードだ。


Contagion"Contagion"
(3)(黒)(黒)
インスタント
あなたは、"Contagion"のマナ・コストを支払うのではなく、あなたは1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある黒のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
1体か2体のクリーチャーを対象とする。それらの上に-2/-1カウンターを2個、望むように割り振って置く。

"Force of Will"が出たので、同じピッチスペルである"Contagion"を紹介しようか。相手がクリーチャーデッキでないと活躍できないから、残念ながら汎用性という視点では"Force of Will"には敵わない。しかし、カード2枚を始末できる可能性を考えると、ハンドアドバンテージでは確実に損をする"Force of Will"より優秀だからね。"ネクロポーテンス"と一緒によく見るカードだった。


ピッチスペルは青と黒が強かったが・・・

Pyrokinesis"紅蓮操作/Pyrokinesis"
(4)(赤)(赤)
インスタント
あなたは、"Pyrokinesis"のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある赤のカードを1枚、追放することを選んでもよい。
好きな数のクリーチャーを対象とする。紅蓮操作はそれらに4点のダメージを、望むように割り振って与える。

赤のピッチもクリーチャー対策カードだ。これが本体にもダメージが入ったなら、"Contagion"を大きく上回る評価だったろうね。しかし最大4枚のカードを持って行けるというのは魅力的だ。序盤に"極楽鳥""Spectral Bears"をまとめて焼き払えるならピッチで打つのも悪い取引ではない。この頃大量発生した兵士トークンも4つ焼ければ死期も遠のくから、私はデッキに2枚程入れていたものだよ。


Bounty of the Hunt"狩りの報奨/Bounty of the Hunt"
(3)(緑)(緑)
インスタント
あなたは、狩りの報奨のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある緑のカード1枚を追放することを選んでもよい。
1体か2体か3体のクリーチャーを対象とし、それらの上に3個の+1/+1カウンターを割り振って置く。これによりあなたがクリーチャーの上に置いた各+1/+1カウンターについて、次のクリンナップ・ステップの開始時にそのクリーチャーから+1/+1カウンターを1個取り除く。

当時のスタンダードで使用されたピッチスペルの中では最も使用頻度が少なかったのがこの"Bounty of the Hunt"だ。かなり状況が整わないとカード3枚分以上の活躍は見込めない。それでも弱いカードとは言い難く、当時もう少しストンピィが活躍できる環境だったらもっと成果を残せたかもしれないね。環境が緑単には厳しい時代だったのさ。


Scars of the Veteran"古参兵の傷痕/Scars of the Veteran"
(4)(白)
インスタント
あなたは、古参兵の傷痕のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札にある白のカード1枚を追放することを選んでもよい。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを7点軽減する。次の終了ステップの開始時に、これにより軽減されたダメージ1点につき、そのクリーチャーの上に+0/+1カウンターを1個置く。

ピッチスペルでコイツだけ紹介しないというのも気の毒だからなぁ。ええと、"Bounty of the Hunt"は当時のスタンダードで使われたカードの中では低評価と言ったが、こちらはピッチスペルの中で唯一使われることがなかったカードだ。悪くない効果ではあるが、盤面に影響を与えにくい能力だからねぇ。他の4枚と比べると見劣りしてしまうかな。これが有用に働くファッティや、本体にきっかり20点のX火力を打ち込むコンボデッキが存在していなかったというのも逆風だった。


ピッチスペル以外も優秀なアンコモン達

Browse"拾い読み/Browse"
(2)(青)(青)
エンチャント
(2)(青)(青):あなたのライブラリーのカードを上から5枚見て、そのうちの1枚をあなたの手札に加える。残りを追放する。"

お次は青のエンチャント、"Browse"を紹介しよう。ライブラリーのトップ5枚から最高の1枚を選べる、という強力なメリットに対し、ものすごい勢いでライブラリーが擦り減っていく、いや、この速さは蒸発していく、という表現がいいだろう。墓地のカードをライブラリーに戻すカードと一緒に使いながらデメリットを軽減することで運用されていたね。


Lim-Dul's Vault"リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul's Vault"
(青)(黒)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを見る。あなたが選んだ回数だけ、あなたは1点のライフを支払い、それらのカードをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置き、その後あなたのライブラリーの一番上から5枚のカードを見てもよい。その後、あなたのライブラリーを切り直し、これによりあなたが見た最後のカードをその一番上に望む順番で置く。

コンボデッキ向きのドロー補助カードがこの"Lim-Dul's Vault"だ。ハンドアドバンテージを得られない点は痛いが、4枚積みのカードなら2~3ライフでほぼ確実にライブラリートップに導けるだろう。ドローの質向上を低マナかつインスタントで実践できるこのカードは、青黒デッキならコンボデッキに限らず採用されていた。惜しむらくは、当時青黒デッキはシェア低めの勢力だったことだね。


赤いアンコモンはアーティファクト除去だらけ!

Primitive Justice"Primitive Justice"
(1)(赤)
ソーサリー
"Primitive Justice"を唱えるための追加コストとして、あなたは(1)(赤)と(1)(緑)の組み合わせを望む回数だけ支払ってもよい。
アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。あなたが追加で支払った(1)(赤)1回につき、他のアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。あなたが追加で支払った(1)(緑)1回につき、他のアーティファクト1つを対象とし、それを破壊し、あなたは1点のライフを得る。

この"Primitive Justice"は、アーティファクト除去としてはかなりの採用率だった。当時の環境では"氷の干渉器/Icy Manipulator"や、この後紹介する"Phyrexian War Beast"といったアーティファクトがよく見られ、2枚以上を対象にできるチャンスも少なくなかったからね。メインとサイド合わせて2~3枚の投入はよく見られたものだよ。


Gorilla Shaman"ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman"
(赤)
クリーチャー 類人猿 シャーマン
(X)(X)(1):点数で見たマナ・コストがXである、クリーチャーでないアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
1/1

同じアーティファクト対策にあってスタンダードで活躍した"Primitive Justice"に対し、現在のエターナル相当だった「タイプ1」環境で活躍したのが"Gorilla Shaman"様だ。各種"Mox"やミラディンのアーティファクト・土地を破壊する手段として、今でも活躍中の1枚だ。起動型能力を持つクリーチャーの中では最優秀選手といっていいレベルではないかな。稀にフィニッシャーにもなれる点も評価したいね。


pillage"略奪/Pillage"
(1)(赤)(赤)
ソーサリー
アーティファクト1つか土地1つを対象とし、それを破壊する。それは再生できない。

高い汎用性とシンプルなテキストが魅力の"Pillage"は、歴代の土地破壊系スペルの中でもトップクラスの能力だ。土地破壊デッキでマナ・アーティファクトを破壊できるというのが実にいい。まさに「かゆいところに手が届く」といった感じだね。特に猛威を振るったのは、第6版に再録されたウルザブロック時代の赤茶単と呼ばれるデッキだが、アライアンス時代でも強力な土地が一気に増えたため、土地破壊以外のデッキでもよく使われた1枚だね。


高水準なクリーチャーを要する緑のアンコモン

Yavimaya Ants"ヤヴィマヤの蟻/Yavimaya Ants"
(2)(緑)(緑)
クリーチャー 昆虫
トランプル、速攻
累加アップキープ(緑)(緑)
5/1

ついに累加アップキープ持ちがスタンダードで活躍する日が来たんだ!この蟻は"アーナム・ジン""セラの天使"といった当時のエース級クリーチャー達と相討ちを取れるパワーを持っている。先制攻撃持ちは苦手だが、速攻のお蔭で攻撃してきた隙をついて手痛い一発をお見舞いできる。トランプルもいいねぇ。兵士トークンと相討ちでも、4点は本体に叩き込めるからね。"ボール・ライトニング"は赤単でないと運用が難しいが、こいつは緑単色でなくとも2回は殴れるだろう。私の好きな1枚だよ。


Deadly Insect"命取りの昆虫/Deadly Insect"
(4)(緑)
クリーチャー 昆虫
被覆
6/1

"Yavimaya Ants"に続いて、緑の虫をもう一枚紹介しよう。"Deadly Insect"は私の好きなプリズン系デッキでフィニッシャーとして採用されることのあった渋めのクリーチャーだ。ブロッカーとしても信頼出来るし、アタックに行ける状況になればあっという間に勝利をもたらしてくれる。そのお膳立てが大変なわけだが、クリーチャー除去の強い当時の環境では彼の活躍する場はあったんだ。


Elvish Spirit Guide"Elvish Spirit Guide"
(2)(緑)
クリーチャー エルフ スピリット
あなたの手札にあるElvish Spirit Guideを追放する:あなたのマナ・プールに(緑)を加える。
2/2

こいつもピッチスペルの範疇に入るかな。カードタイプはクリーチャーでありながら、基本的に場に出る機会はあまりない。"ラノワールのエルフ"より"暗黒の儀式"に近いかな。他のピッチとは違って緑のデッキでなくても採用できる点も面白い。ただ、最も向いているストンピィの勢力が小さく、コンボ系デッキも活躍していなかったため、なかなかの能力の割にトーナメントで見かける機会はそれほどでもなかったと記憶しているよ。


強力セットはコモンもパワフル

Arcane Denial"秘儀の否定/Arcane Denial"
(1)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーは、次のターンのアップキープの開始時にカードを最大2枚まで引いてもよい。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。

"Force of Will"と並ぶアライアンスの確定カウンター、"Arcane Denial"なんとコモンカードだ。どんなスペルでも対象に取れる上に軽量なコストは"対抗呪文"があった当時でさえ魅力的で、トーナメントシーンでよく見られたものさ。ただし、手札アドバンテージを失っているから注意が必要だ。確定カウンターでありながらシングルシンボルなので、多色系のデッキでの採用したこともあるよ。


guerrilla tactics"ゲリラ戦術/Guerrilla Tactics"
(1)(赤)
インスタント
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ゲリラ戦術はそれに2点のダメージを与える。
対戦相手がコントロールする呪文や能力によって、あなたがゲリラ戦術を捨てさせられたとき、クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ゲリラ戦術はそれに4点のダメージを与える。

露骨な友好色への対策カードというのが珍しいね。赤の黒対策"Guerrilla Tactics"は、相手に手札破壊を強制されたときに誘発する効果を持ったカードの先駆けだ。相手が黒でなくとも最低限の働きはするので、第4版が落ちた後の"稲妻"枠に無理やり投入された時期もある。しかし最も輝いたのはやはり対ネクロディスクで、”Hymn to Tourach”"惑乱の死霊"でピックされると爽快だったね。


Phyrexian War Beast "Phyrexian War Beast"
(3)
アーティファクト クリーチャー ビースト
Phyrexian War Beastが戦場を離れたとき、土地を1つ生け贄に捧げ、Phyrexian War Beastはあなたに1点のダメージを与える。
3/4

スタンダードで活躍したコモンのアーティファクトクリーチャーというのはかなり珍奇だね。無色は汎用性の高さゆえ、デザインが難しいということだが、このカードはその網をかいくぐり世に出た稀少なカードだ。プロテクション持ちの騎士達や"Spectral Bears"を止め、"稲妻"で落ちない優秀なスペックが人気だった。当時はバウンス系のカードが活躍していなかったのも好条件だったね。当時のスタンダードのカードプール全体で見ると、3マナクリーチャーはなぜか優良カードが少なかったのも採用率アップにつながったようだ。

次回はアライアンス後篇、レアカードを紹介していこうと思っているよ。

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