バイ助・リオンの語りは続く!

フォールン・エンパイアの新説を知って「騙されていた!」と”ショック/Shock”を受けたという声は、私の耳に届いているよ。ああ、分かってるさ。今日はあのエクスパンション・・・ホームランドについて、その知られざる物語を明かそう。もし忘れているなら、よく思い出しておいてくれたまえ。

今から話す内容は衝撃的なものだが、動揺せず心して聞いてほしい。賢明な君はもう薄々気付いている、といった顔つきだね。そう、君の予想どおりだよ。ホームランドはその名の通り、マジック初の、野球を題材にした熱血スポ根エクスパンションだ!


ホームランドの真実を知れ!そして戦慄せよ!

Baron SengirDidgeridooセンギア学園不動の4番打者、"Baron Sengir"。前回のウルグローサ大学付属セラ学院高校との対決で完封された彼は、あの日以来血の滲むような特訓を続けていた。そしてある日、彼は究極のバット"Didgeridoo"を手に入れ、同時に究極の打法を体得する。


セラ学院のエース"Hazduhr the Abbot"から放たれる心眼の魔球"Prophecy"を攻略する準備が整ったとして、監督"Grandmother Sengir"は部員を率いてセラ学院の練習グラウンドである"Serra Aviary"に乗り込む。

“Prophecy”
(白)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを1枚公開する。そのカードが土地カードである場合、あなたは1点のライフを得る。その後、そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。

ProphecyHazduhr the Abbot突然の訪問者たちに練習の動き止めるセラ学院の面々。そう、まるで"Chain Stasis"でも打たれたかのように。しかしセラ学院の監督"Autumn Willow"は動じない。流石は猛者たちを率いる名将、伊達に被覆持ちではない。

彼女は「我々はいつでも準備が出来ている」と笑みを浮かべた。澄み切った"Winter Sky"のもと、戦いの火蓋は切って落とされたのだ。短かった"休戦/Truce"はここに終結したのだった。

Autumn WillowGrandmother Sengir







伝説達の激突!目の当たりにせよ!

ここで両校のラインナップを紹介しよう。

センギア学園(黒青赤)

1(中)情け知らずのエロン/Eron the Relentless
2(二)Chandler
3(三)Veldrane of Sengir
4(一)Baron Sengir
5(左)イーサンの影/Ihsan's Shade
6(遊)Irini Sengir
7(右)センギアの従臣/Sengir Autocrat
8(捕)Joven
9(投)Reveka, Wizard Savant
監督:Grandmother Sengir

ChandlerVeldrane of SengirIrini Sengir


セラ学院(白緑)

1(二)Willow Priestess
2(遊)Faerie Noble
3(中)Rashka the Slayer
4(捕)Aysen Crusader
5(右)Serra Inquisitors
6(一)アン=ハヴァの治安官/An-Havva Constable
7(左)Soraya the Falconer
8(三)Daughter of Autumn
9(投)Hazduhr the Abbot
監督:Autumn Willow

Serra InquisitorsDaughter of AutumnAn-Havva Constable


開戦直後から激しい動きが!

Reveka, Wizard Savant“Reveka, Wizard Savant”
(2)(青)(青)
伝説のクリーチャー ドワーフ ウィザード
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。Reveka, Wizard Savantは、それに2点のダメージを与え、あなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしない。
0/1


センギア学園の先発、"Reveka, Wizard Savant"は並のバッターなら一撃で三振を取れる剛速球を持っていた。しかしその剛速球も2回に1球しか投げられないという虚弱性がたたり、初回からセラ学園に打ち込まれてしまう。特に1番、2番の緑フェアリー達は身体が小さすぎて、どんな球を投げてもストライクゾーンに入らない。お飾りの4番打者"Aysen Crusader""Soraya the Falconer"は三振としたものの、打者一巡の猛攻で初回に6点の大量リードを許す。


Faerie NobleWillow Priestess

一方、セラ学院の先発、"Hazduhr the Abbot"は、初回から魔球"Prophecy"を連発し、三者三振で初回を終える。さすがスロートリップ付き、アドバンテージを失わない上に1マナと軽い彼の魔球は連発が効く。手の内が読まれた状態で試合を進めざるを得ない不利な展開となった。1回の攻防が終わると"Grandmother Sengir"監督は、この日のために用意してきた秘策の実行を指示した。


かの天才、攻略の糸口を掴む

迎えた2回表。"Baron Sengir"からの打順である。魔球"Prophecy""Didgeridoo"がかすめたのだ!前回の試合ではかすりもしなかったあの魔球を、"Baron Sengir"は攻略しつつあった。この打席はファウルフライで終わったが、彼は確実に手ごたえを掴んでいた。呼吸を合わせれば、あの秘打が使える!しかしこの回は結局、三者凡退で終わる。


戦に勝つ者は、勝つ準備をした者だけである!

Ambush“Ambush”
(3)(赤)
インスタント
ブロックしているクリーチャーはターン終了時まで先制攻撃を得る。

既に6点差を有するセラ学院ナインの間に、少しの気の緩みがあったのかもしれない。知将"Grandmother Sengir"はそこを見逃さなかった。秘策その1、作戦"Ambush"だ。塁手がこっそりボールを持ち、不意にタッチアウトを取るという実に知将らしい作戦である。これによりフォアボールで出塁していたフェアリー達をベンチに送り返し、この回を0点で凌ぐ。秘策の成功に湧くセンギアの面々。それを見て"Autumn Willow"は怒り心頭に発す。「あんなスタンダードで使われたこともないヤツに煮え湯を飲まされるとは!」


forget“忘却/Forget”
(青)(青)
ソーサリー
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。その後そのプレイヤーは、これにより自分が捨てたカードと同じ枚数のカードを引く。

"Grandmother Sengir"は攻撃面でも策を用意していた。作戦その2、"忘却/Forget"によって魔球の投げ方自体を封じる作戦だ。この作戦も上手くいき、徐々に点差を詰めていった。セラ学院は"Hazduhr the Abbot"に投手を頼り切っていたため、この作戦を打ち破れなかったのだ。4回を終えるまでに8-5となり、3点差まで追いつめていた。しかし"Baron Sengir"はあの魔球を攻略したいという思いから、監督への不信感を募らせていく。勝利にこだわる将、勝負にこだわる兵、であった。


熾烈な攻防の全てを今、君に明かそう!

Shrink

“縮小/Shrink”
(緑)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-5/-0の修整を受ける。

Joven焦りを感じ始めた"Autumn Willow"もここでついに動く。5回の攻撃、"Reveka, Wizard Savant"投球と同時に自軍の打者に"縮小/Shrink"をかけ、全てボウル扱いにしていった。これに猛抗議した"Grandmother Sengir"だったが、先に"忘却/Forget"を仕掛けた手前、抗議が受け入れられることはなかった。あっという間に満塁になり、万策尽きたと思われたときである。捕手の"Joven"が盗賊らしい持ち前の器用さで打者にこっそり"一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn"を付けパワーを上げさせたことで、何とか危機を切り抜けた

Feast of the Unicorn“一角獣の饗宴/Feast of the Unicorn”
(3)(黒)
エンチャント オーラ
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされているクリーチャーは+4/+0の修整を受ける。




Roots“Roots”

(3)(緑)
エンチャント — オーラ
エンチャント(飛行を持たないクリーチャー)
Rootsが戦場に出たとき、エンチャントされているクリーチャーをタップする。
エンチャントされているクリーチャーは、それのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。


Giant Oyster“巨大カキ/Giant Oyster”
(2)(青)(青)
クリーチャー カキ
あなたは、あなたのアンタップ・ステップに巨大カキをアンタップしないことを選んでもよい。
(T):タップ状態のクリーチャー1体を対象とする。巨大カキがタップ状態であり続けるかぎり、それはそれのコントローラーのアンタップ・ステップにアンタップしない。また、あなたの各ドロー・ステップの開始時に、そのクリーチャーの上に-1/-1カウンターを1個置く。巨大カキが戦場から離れるかアンタップ状態になったとき、そのクリーチャーからすべての-1/-1カウンターを取り除く。
0/3

その後も激闘が続く。セラ学院が守備でベースに"Roots"を潜ませ走塁妨害したかと思えば、センギア学園側はさらに悪質"巨大カキ/Giant Oyster"で対抗。センギア学園にホームラン級の当たりが出ても、到達持ちの"Rashka the Slayer"やファルコン使いの"Soraya the Falconer"が手下を使って捕球してしまう。セラ学院は足で得点を狙うが、走路を"Jinx"で沼に変えられてしまい、思うように走者を進められない。そんな泥仕合を様を呈していく中、3点差のまま9回裏、最後のセンギア学園の攻撃を迎えるのであった。

jinx“Jinx”
(1)(青)
インスタント

土地1つを対象とする。それはターン終了時まで、あなたが選んだ基本土地タイプ1種になる。
次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。


Soraya the FalconerRashka the Slayer






そして物語は佳境へ!

2アウト満塁まで来たところで、ついに手持ちの"忘却/Forget"が尽きる。ソーサリーであるが故、"商人の巻物/Merchant Scroll"でも持ってくることができない。万策尽きたその打席、バッターボックスに立つのはかの"Baron Sengir"であった。やっと正面からあの魔球"Prophecy"を打ち崩せるチャンスが巡ってきたのだ。相対する両雄、球場全体が緊張に包まれる。魔球がホームベースを目がけて突き進む。振りかざされる"Didgeridoo"は、無情にも空を切り裂く――しかし!


Broken Visage“影写し/Broken Visage”
(4)(黒)
インスタント
アーティファクトでない攻撃しているクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。そのクリーチャーのパワーとタフネスを持つ、黒のスピリット・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。次の終了ステップの開始時にそのトークンを生け贄に捧げる。

"Baron Sengir"はここで最後の大技秘打"影写し/Broken Visage"を仕掛けていた!影写しとなったスピリット・トークンの二の太刀がついに魔球を真芯で捉える。流石は5/5クリーチャー、パワー5以上のクリーチャーが6体しかいないホームランドにあって、さらにここは"Serra Aviary"なのだ。+1/+1された彼の打球を止めることは誰にもできず、劇的なサヨナラ満塁ホームランだった。

Serra Aviary

"影写し/Broken Visage"のトークンが帰還すると、打席に倒れこんだ本体の"Baron Sengir"の周囲に選手たちが集まっていた。吸血鬼を再生させる能力を持った彼だったが、唯一自分だけは再生できないのだった。その命と引き換えに決勝打を放った彼は母校の英雄として讃えられ、その苛烈な試合を題材としたエクスパンションが作られるに至ったのである。


バイ助の結び

どうだろう?ホームランドに秘められた物語はこれでおしまいだ。あのセットにはリアにメイト系カードがなかったからね。"Baron Sengir"8マナクリーチャーらしい重厚なシナリオ、楽しめていただけたと思う。これからも様々なエクスパンション秘話を披露し、正しいマジックの姿を少しでも明らかにしていければと思っているよ。