ハルシオンのMTGブログ

MTGシングルカード通販ショップ「ハルシオン」のブログです。 http://mtg-halcyon.com/

今回も前回に引き続きミラージュで活躍したカードを紹介するよ。

優秀な緑のコモンたち

Jolrael's Centaur"ジョルレイルのケンタウルス/Jolrael's Centaur"
(1)(緑)(緑)
クリーチャー ケンタウルス 射手
被覆
側面攻撃(側面攻撃を持たないクリーチャーがこのクリーチャーをブロックするたび、ブロックしているクリーチャーはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。)
2/2

緑のコモン・クリーチャーは、前回"根の壁"を紹介したが、それ以外にも優秀な連中が多い。その中でも"ジョルレイルのケンタウルス/Jolrael's Centaur"は地味な能力ながら多くの緑デッキで攻守ともに活躍していた。ミラージュ世界を演出する側面攻撃付きクリーチャーとしてトーナメントシーンで活躍した数少ないカードの1つは、緑で唯一の側面攻撃持ちのコイツだった。当時の私に被覆の強さを教えてくれた1枚でもあるね。


Jungle Wurm"ジャングル・ワーム/Jungle Wurm"
(3)(緑)(緑)
クリーチャー ワーム
ジャングル・ワームがブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで、それ自身をブロックしている最初のクリーチャーを除いたクリーチャー1体につき、-1/-1の修整を受ける。
5/5

5マナ5/5というマナ・レシオは、当時のコモンクリーチャーとしては優秀な水準でね。まあ、正直大活躍というレベルではなかったものの、あの"アーナム・ジン"の穴を埋める候補としてステロイド系のデッキなどで使用実績がある。デメリットが複数ブロックを誘う点を逆手に取り、ブロック後の"火葬""巨大化"が決まると痛快だったね。


Granger Guildmage"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage"
(緑)
クリーチャー 人間 ウィザード(
(赤),(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。農芸師ギルドの魔道士はそれに1点のダメージを与え、あなたに1点のダメージを与える。
(白),(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで先制攻撃を得る。
1/1

"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage"は個人的にお世話になったクリーチャーだ。ビジョンズ発売後に一大勢力となった5CGを下支えするシステム・クリーチャーだ。1/1クリーチャーながら芸達者で、5CGのミラーマッチでは先に出すと勝つくらいの強さがあった。相手の"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage""極楽鳥"など、タフネス1のクリーチャーが豊富な時代だったからね。


Mtenda Lion"メテンダ・ライオン/Mtenda Lion"
(緑)
クリーチャー 猫
メテンダ・ライオンが攻撃するたび、防御プレイヤーは(青)を支払ってもよい。そうした場合、このターン、メテンダ・ライオンが与えるすべての戦闘ダメージを軽減する。
2/1

白のライオンがレアなのに対し、緑のライオンはリーズナブルで好感度が高めだったね。コモンでパワーが2あり、かつ1マナという破格のクリーチャーだよ。相手が青いときはデメリットが付いているようにも見えるが、青に対しマナ拘束ができるという観点ではむしろメリットといえる能力だ。それに、ブロック時には何のデメリットもない。当然、緑ウィニー系で活躍したよ。



緑以外で活躍したコモンを紹介

Shadow Guildmage"祭影師ギルドの魔道士/Shadow Guildmage"
(黒)
クリーチャー 人間 ウィザード
(青),(T):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。
(赤),(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。祭影師ギルドの魔道士はそれに1点のダメージを与え、あなたに1点のダメージを与える。
1/1

緑のギルドメイジと同様、赤マナの起動能力が強力で、5CGと同時期に活躍した5CBで投入されたクリーチャーだ。青マナでクリーチャーの緊急避難ができる点も地味に役立った。CIP能力の再利用が主な用途だが、そのCIP能力は、実はビジョンズでやっと一般的な能力となる。このミラージュまでは、非戦闘系クリーチャーの能力と言えば起動型能力がほとんどであり、その点でコイツもビジョンズ登場後が活躍の本番となったね。


Choking Sands"押し寄せる砂/Choking Sands"
(1)(黒)(黒)
ソーサリー
沼でない土地1つを対象とし、それを破壊する。その土地が基本でなかった場合、押し寄せる砂はその土地のコントローラーに2点のダメージを与える。
こちらも先ほどの"祭影師ギルドの魔道士/Shadow Guildmage"と同様、5CBでの実績があるカードだ。5CG,5CBといった多色デッキには特殊地形が大量投入されていたものだから、対象に困ることはなかったものさ。アグレッシブにマナ拘束ができる憎いヤツだ。後攻1ターン目で"暗黒の儀式"から飛んでくると、それだけで試合の流れを決定づけることもあったよ。


Kaervek's Torch"ケアヴェクの火吹き/Kaervek's Torch"
(X)(赤)
ソーサリー
ケアヴェクの火吹きがスタックに積まれているかぎり、それを対象とする呪文はそれを唱えるためのコストが(2)多くなる。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ケアヴェクの火吹きはそれにX点のダメージを与える。
あの"Force of Will"にマナを払わせることができるX火力がこの"ケアヴェクの火吹き/Kaervek's Torch"だ。万能とまではいかないが、試合中に1度でも見せておけばかなりのプレッシャーを与えられる点が、最大の魅力だろうね。赤マナが出せるデッキでは、青相手のサイドボードとして居場所を持っていたんだ。


粒ぞろいのアンコモン達

Floodgate"水門/Floodgate"
(3)(青)
クリーチャー 壁
防衛
水門が飛行を持つとき、それを生け贄に捧げる。
水門が戦場を離れたとき、それは飛行を持たない青でない各クリーチャーに、あなたがコントロールする島の数の端数を切り捨てた半分に等しい点数のダメージを与える。
0/5
青いアンコモンと言えば前回紹介した"雲散霧消"だが、コイツもなかなかの活躍を見せてくれた。当時ウィニーが強い環境にありながら、青単デッキを成立させてくれた立役者だ。場を離れるだけで、一方的なアドバンテージをもたらしてくれる点が魅力だ。"島"そのものの価値を押し上げ、当時一番強いカードを"島"にしていた点でも立役者だったといえるね。


Suq'Ata Firewalker"スークアタの火渡り/Suq'Ata Firewalker"
(1)(青)(青)
クリーチャー 人間 ウィザード
スークアタの火渡りは、赤の呪文や赤の発生源からの能力の対象にならない。
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。スークアタの火渡りはそれに1点のダメージを与える。
0/1
当時の青によくいた、ピンガーと呼ばれる1点ダメージを与えるクリーチャーの一人だ。ギルドメイジのところで紹介したとおり、タフネス1のクリーチャーが大量に存在していたスタンダードでは、限定的ながら除去耐性のあるコイツは居場所があった。コモンのギルドメイジと比べるとコストが重く、先に出されると手札で腐るため、サイドボードでの活躍が多かったように記憶しているよ。


Stupor"呆然/Stupor"
(2)(黒)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚無作為に選んで捨てる。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
現在の水準では強いカードの部類だろう。しかし申し訳ないが、最初にコイツを見たときの印象は「え、弱い」だった。その理由はフォールン・エンパイアに存在していた"Hymn to Tourach"のせいだ。あいつがコモンなうえに2マナで、能力も上回っていたのだから仕方ない。"Hymn to Tourach"脱落後の手札破壊デッキの主力として大いに活躍したね。


Wildfire Emissary"ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary"
(3)(赤)
クリーチャー イフリート
プロテクション(白)
(1)(赤):ワイルドファイアの密使は、ターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
2/4
カウンターポストのトークンにブロックされず、"剣を鋤に"が効かない。"神の怒り"と1対1ができるだけのスペックを持つ、優秀なアンコモン。加えて"白騎士""黒騎士""ジョルレイルのケンタウロス"一方的に勝てる。更に"火葬"で落ちない2/4という数値にパンプアップ能力は、当時の水準では単体で場を制圧し得た。見た目以上に大活躍した1枚で、私もよく苦しめられたものさ。


Fire Diamond"緋色のダイアモンド/Fire Diamond"
(2)
アーティファクト
緋色のダイアモンドはタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)を加える。
第6版再録時にポンザデッキで活躍したカードだ。赤以外にも各色のダイアモンドが存在していたが、その中でおそらく最も使われた1枚だろう。青や白もプリズン系のデッキで使われたが、第6版時代のポンザ勢力が比較的大きかった点で差が付いたと思うね。赤いマナ加速は貴重だったので、ポンザ以外のデッキでもたまに見かけるだけのカードパワーはあったね。


レアカードからはこの4枚を紹介

Political Trickery"政略/Political Trickery"
(2)(青)
ソーサリー
あなたがコントロールする土地1つと、対戦相手1人がコントロールする土地1つを対象とする。それらのコントロールを交換する。(この効果は永続する。)
青でありながら土地対策ができる、数少ないカードだね。露骨なカウンターポスト対策として大いに活躍したカードだ。ミラーマッチで自分の"Thawing Glaciers"を起動後に押し付け、回収するという手口が実に青らしく、良く見かけたものさ。イラストの分かるような分からないような雰囲気も魅力の一つだろう。


Final Fortune"最後の賭け/Final Fortune"
(赤)(赤)
インスタント
このターンの後に追加の1ターンを行う。そのターンの終了ステップの開始時に、あなたはこのゲームに敗北する。
赤らしい男気溢れる、アツいカードだ。勝つか負けるか、2つに1つ。たった2マナで1ターン追加という性能は、あのパワー9の"Time Walk"同等と言える。コンボデッキ向きの能力だが、当時のコンボデッキに向くマナ・コストではなかったため、活躍の場は主にスライ系のデッキだった。遅いデッキ相手にサイドインするといった使われ方が多かったと記憶しているよ。


Maro"マロー/Maro"
(2)(緑)(緑)
クリーチャー エレメンタル
マローのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたの手札のカードの枚数に等しい。
*/*
緑らしくない能力なのだが、派生カードも多く人気の1枚だ。このカード名は、カードデザイナーの重鎮マーク・ローズウォーターの名前から取られている。ミラージュ当時のカードタイプ欄は「ネイチャー・スピリットの召喚」とかかれていて、マニアックなクリーチャータイプマニアの間では人気だったね。実戦での成績はそこそこで、"ハルマゲドン"と組んでマローゲドンというデッキを誕生させていたよ。


Frenetic Efreet"熱狂のイフリート/Frenetic Efreet"
(1)(青)(赤)
クリーチャー イフリート
飛行
(0):コインを1枚投げる。あなたがコイン投げに勝った場合、熱狂のイフリートはフェイズ・アウトする。あなたがコイン投げに負けた場合、熱狂のイフリートを生け贄に捧げる。
2/1
世界初、トーナメントクラスのコインフリップ能力を持ったカードだ。運さえよければタダで除去から逃れられるという能力は、一見地味だが使ってみるとかなり優秀だった。コイツは先入観によって評価が著しく低かった、という点をお伝えしたい。コインフリップ系にかつてまともなカードはなく、しかもミラージュの多色カードが揃いも揃って紙クズばかりだったため、コイツの評価も最初はものすごく低かったんだ。


"熱狂のイフリート"を見ると、このゲームの面白さを思い出すんだ。あの当時、誰も強いと思っていなかったカードが実績を残した時の感動は、マジックの知的ゲームとしての奥深さを感じることができる。見るからに強い能力でないし、あっと言わせるようなコンボがあったわけでもない。使ったら強かった、とか、よく考えると強い、というコイツの能力は、いつか自分もそんなカードを発掘してやりたい、と思い描いていた当時の気持ちを呼び覚ましてくれる。
さて、こんなところでミラージュの話はおしまいだ。しかしきっと、誰かがミラージュ「闇」について話しをしてくれる・・・そんな気がするんだ。

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どうも、J也です。

本編とは全く関係の無い小話ですが、最近伏魔殿のピュクシスにはまってます。青黒コンだとかクルフィックス入りのアブザン、緑信心なんかには非常に面倒くさそうな顔されてとても楽しいです。

さて、それはともかくとして今回のデッキ紹介です。

今回のテーマはこちら!

神秘の痕跡&秘密の計画jp_sngrjqi8kp jp_rpanz1wxu8

どちらも変異をテーマとしたエンチャントです。神秘の痕跡の能力は変異を出したら基本土地サーチと変異を解除したらそのクリーチャーを+2/+2パンプ、秘密の計画の能力は変異クリーチャー全体を0/+1と変異解除で1ドロー。どちらもサイズ強化の能力とアドバンテージを得る能力を持っています。

リミテッドでは、展開しながら延々とアドバンテージを稼ぎ続ける青緑軸の変異デッキが強力なアーキタイプとして存在しますが、その動きを構築で本気でやれば一体どのような動きになるのでしょうか。

それでは、環境に存在する強力な変異カードを見てみましょう。

まずは青緑から、サグのやっかいもの氷羽のエイヴンjp_xzw26xtmfp サグのやっかいものは間違いなくこのデッキのエースになるだろうカードです。6/6呪禁トランプル、対処できるカードはかなり限られてきます。エイヴンは構築では若干パワーが不足しそうですが、変異解除が軽く、序盤の時間稼ぎにはいいかも。

青や緑の単色では頭巾被りのハイドラ爪鳴らしの神秘家が強いです。他に千の風ケルゥの呪文奪いもありますが、変異解除が重く、また変異で出さないとスペックがちょっと残念。変異の枚数が足りないのなら入れるけど、種類があれば入らないとは思います。むしろ個人的に好みなのは霧炎の織り手変異解除で呪禁を誰かに与える能力は相手の計算を大きくずらすことができそうです。

他の色では、まず赤に灰雲のフェニックスjp_uvhggfnjds 基本スペックがそれなりで、変異関係なしにティムールやグルールに入ってますが、変異デッキに入れても充分強い。1枚で何回も変異できるというのも良い点です。ダブルシンボルがちょっと厳しいかもですが充分採用候補。

また、赤には嘲る扇動者という名前の冒涜の行動もいます。変異でアドバンテージを稼ぐデッキには相性が良いとは言えませんが、アグロ寄りの中速デッキのサイドにすっと挿しておけば良い働きはしそうです。

白と黒は変異があまり強くありませんが、不気味な腸卜師なんかは変異関係無しに良カード。黒系アグロのアドバンテージ源として、普通に3マナで出てくることでしょう。

あとはめぼしいものとしては、各色に1枚ずつ存在する、手札のカードを見せることで変異解除できるクリーチャーもいます。マナがかからない上に通常で出しても低マナであるため、序盤のもたつきを多少は改善してくれるかもしれません。


といった感じでしょうか。ではさくっと作ってみたデッキがこちら。

青緑t黒変異

土地 24

華やかな宮殿 4

汚染された三角州 2

神秘の神殿 4

沼 2

島 5

森 7

クリーチャー 19

爪鳴らしの神秘家 4

サグのやっかいもの 4

頭巾被りのハイドラ 3

ティムールの軍馬 4

グドゥルの嫌悪者 2

霧炎の織り手 2

スペル 17

神秘の痕跡 3

秘密の計画 4

死の激情 2

スゥルタイの魔除け 1

残忍な切断 3

荒ぶる波濤、キオーラ 2

悪逆な富 2


さて、それではちょっと解説を。

とりあえず神秘の痕跡と秘密の計画は詰むのですが、枚数は神秘の痕跡を3枚、秘密の計画を4枚です。秘密の計画は複数あればあるだけドローできますが、神秘の痕跡は複数枚あってもあまり強くないのでその分の差と思ってください。

クリーチャーは変異クリーチャーのみで19枚。 グドゥルの嫌悪者、霧炎の織り手は正直あやしいですが、お互いそれなりに有効なタイミングのある飛行クリーチャーとして考えてます。

スペルには除去を6枚。jp_9nzaw8ypbs 残忍な切断にスゥルタイの魔除けは腐りにくい除去として、死の激情はウィニーに対して間に合えば勝てるカードとして入れてあります。死の激情は重いのが難点ですが、黒マナは1つしか要求されないこと、秘密の計画があれば変異クリーチャーも巻き込まないことを評価してます。

キオーラは自由枠として入れてるので、他のカードでも良いとは思います。単純にこのカラーでデッキの方針に沿ったパワーカードだったからこれにしているだけ。

そして最後のオシャレカード、悪逆な富を2枚。神秘の痕跡&秘密の計画コンビが機能すればほぼ毎ターン土地をセットし続けることが可能。そして膨れ上がったマナでぶっ放すのがこのカードという訳です。決まればこれ1枚で勝てるのもナイスポイント。


こんなもんでしょうか。

変異で出すか、それとも素出しをするかが難しいデッキではありますが、プレイング次第ではしっかりと戦えるものになってます。相手からすれば、クリーチャー何が出てもサグのやっかいものじゃないかと疑わないといけないので、非常にやりにくいのではないかと思います。

それでは、今回はこのへんで。

J也でした。

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使いづらいカードのオンパレード

ミラージュ・・・ああ、覚えているさ。その名の通り蜃気楼のようなセットだったね。物語の舞台は極寒のアライアンスから、熱帯のミラージュへと移ったが、カードパワーはそのだったかな。全体的に控え目で・・・特にレアが、ねぇ。普通のデッキでは使い道のないようなカードが多かったんだよ。逆にいうと、コンボデッキ向きのカードが多かったんだ。だから、スタンダード現役当時よりはそれ以降の時代の方が重要なセットだといえるね。それはさておき、現在も続いているブロックの概念が初めて最初から導入された、マジックの歴史面で重要なセットでもある。今回はそんなミラージュの紹介だ。


まずは炎の鎚を中心に紹介しよう!

Hammer of Bogardan"ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan"
(1)(赤)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ボガーダンの鎚は、それに3点のダメージを与える。
(2)(赤)(赤)(赤):あなたの墓地にあるボガーダンの鎚をあなたの手札に戻す。この能力は、あなたのアップキープの間にのみ起動できる。

ミラージュを代表するレアカードは、間違いなくこの"ボガーダンの鎚"だろう。使いまわしの利く火力であり、除去であり、フィニッシャーであった。しかも、再利用が始まると対処が難しい点は特筆に値する。低速な青赤デッキ、カウンターハンマーを生んだ。レアが特に弱いミラージュにあって、数少ない汎用性の高いトーナメントカードだったため、値段が高騰していた。みんなミラージュを剥くリスクを恐れていたんだ。


Dissipate"雲散霧消/Dissipate"
(1)(青)(青)
インスタント
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。その呪文がこれにより打ち消された場合
、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。
"ボガーダンの鎚"を紹介したからには、アンコモンながらこのカードを紹介しなければならないだろう。当時の環境では"ボガーダンの鎚"以外に再利用を前提としたカードがほぼなかったため、専用の対策カードとして存在していたと言っていい能力だった。露骨な対策カードではあるものの、確定カウンターということでメインボードに採用しやすい点が高評価だね。


Ebony Charm"黒檀の魔除け/Ebony Charm"
(黒)
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーは1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。
・単一の墓地にあるカードを最大3枚まで対象とし、それらを追放する。
・クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで畏怖を得る。

こちらはコモンカードだが、これも"ボガーダンの鎚"の対策カードだ。"雲散霧消"に対し、こちらはメインボードでの活躍はなかったがね。何せこの2枚しか鎚への対策手段がない環境だったものだから、遅い黒デッキではよく見られたね。他の対策としては"ハルマゲドン"で土地を吹き飛ばすか、再利用モードに入られる前に勝つ、のどちらかだったんだ。今見ると魔除けの効果で墓地3枚追放というのは破格だね。当時墓地利用が軽視されていたのがよく分かるだろう。


コンボデッキのメインパーツ達

Phyrexian Dreadnought"ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought"
(1)
アーティファクト クリーチャー ドレッドノート
トランプル
ファイレクシアン・ドレッドノートが戦場に出たとき、パワーの合計が12以上になるように好きな数のクリーチャーを生け贄に捧げないかぎり、これを生け贄に捧げる。
12/12

12/12という度肝を抜くパワーとタフネスであっと言わされたのがこのクリーチャーだ。しかし、もっと驚いたのはそのたった1マナというコストだ。もちろん、相応しいデメリットが書いてあるのだが、後にエクソダスで登場する"伏魔殿/Pandemonium"というカードと強烈なコンボデッキを生み出した、見かけ倒しではない一枚だ。


Shallow Grave"浅すぎる墓穴/Shallow Grave"
(1)(黒)
インスタント
あなたの墓地の一番上のクリーチャー・カードを1枚戦場に戻す。そのクリーチャーはターン終了時まで速攻を得る。次の終了ステップの開始時に、それを追放する。

墓地の一番上という制限があるものの、たった2マナでリアニメイトできるのは魅力的で、コイツで様々なコンボデッキが作り出されたんだよ。クロニクルで紹介した"ニコル・ボーラス"が有名な相方だが、その後も様々なクセのあるクリーチャー達とコンボデッキを作っていった一枚だね。


Spirit of the Night"夜のスピリット/Spirit of the Night"
(6)(黒)(黒)(黒)
伝説のクリーチャー デーモン スピリット
飛行、トランプル、速攻、プロテクション(黒)
夜のスピリットは、それが攻撃しているかぎり先制攻撃を持つ。
6/5

正確にはコンボパーツとまでは言えないのだが、ミラージュを紹介する上で外せないカードという点では重要なカードだ。というのも、私が知る限りスタンダード現役で5,000円以上の販売価格を付けた最初のカードだからだ。正直言ってなぜそこまで上がったのかは正直分からない。エクソダス時代にNWO系デッキでは確かに優秀なフィニッシャーだったが、必須とまではいかず、入っても1枚で、それ以外のデッキでは利用価値がなかったからね。カッコいいクリーチャー枠としての人気もあったんだろうね。


レア以外にもコンボパーツはあった

Enlightened Tutor"悟りの教示者/Enlightened Tutor"
(白)
インスタント
あなたのライブラリーからアーティファクト・カード1枚かエンチャント・カード1枚を探し、そのカードを公開する。あなたのライブラリーを切り直す。その後そのカードをその一番上に置く。




Mystical Tutor"神秘の教示者/Mystical Tutor"
(青)
インスタント
あなたのライブラリーからインスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚を探し、そのカードを公開する。あなたのライブラリーを切り直す。その後そのカードをその一番上に置く。




Worldly Tutor"俗世の教示者/Worldly Tutor"
(緑)
インスタント
あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを1枚探し、そのカードを公開する。あなたのライブラリーを切り直す。その後そのカードをその一番上に置く。




このアンコモンの教示者シリーズは、次のビジョンズで登場する"吸血の教示者"のインパクトがあまりにも強烈だったからね。それに霞んでしまうと言えばそうなのだが、こいつらも当時から猛威を振るっていたよ。白の教示者はヴィンテージで禁止だったことがあり、青はレガシーで今も禁止カードだ。緑だけは禁止されたことがないが、それでも強いカードと言えるだろう。特に青は色の特性から"吸血の教示者"に近似したスペックになりやすく、コンボデッキ以外でも高い採用率を誇っていたね。もちろん、当時のコンボデッキでもよく見られたカードだ。


Wall of Roots"根の壁/Wall of Roots"
(1)(緑)
クリーチャー 植物 壁
防衛
根の壁の上に-0/-1カウンターを1個置く:あなたのマナ・プールに(緑)を加える。この能力は、各ターンに1回のみ起動できる。
0/5

このコモンクリーチャー、ぱっと見は優良なマナ・クリーチャーだね。実際、ほとんどはそのように使われていたわけだが・・・。実はこの壁は、”停滞”とのコンボでルールを一つ訂正させたという中々後ろ暗い過去を持つ。このカードが印刷されたころは、ルール上ターンの間というタイミングがあり、そこではこの能力を何度でも起動できる、ということになってしまった。しかもマナ能力は何よりも早く処理され、また阻害されることもないので5回以上能力を使っても、コイツが死ぬ前にマナはいくらでも出せた、というルールのあらを突いたとんでもないコンボがプロツアーで現実のものとなってしまったんだ。


ビジョンズ登場後に時代を築いたカード達

Cadaverous Bloom"死体の花/Cadaverous Bloom"
(3)(黒)(緑)
エンチャント
あなたの手札のカードを1枚追放する:あなたのマナ・プールに(黒)(黒)か(緑)(緑)を加える。




Natural Balance"自然の均衡/Natural Balance"
(2)(緑)(緑)
ソーサリー
土地を6つ以上コントロールしている各プレイヤーは、自分のコントロールしている土地を5つ選び、残りを生け贄に捧げる。土地を4つ以下しかコントロールしていない各プレイヤーは、自分のライブラリーから基本土地カードを最大X枚まで探し、それらを戦場に出してもよい。Xは5引くそのプレイヤーがコントロールする土地の数である。その後これにより自分のライブラリーを探した各プレイヤーは、自分のライブラリーを切り直す。


Infernal Contract"冥府の契約/Infernal Contract"
(黒)(黒)(黒)
ソーサリー
カードを4枚引く。あなたはあなたのライフの端数を切り上げた半分を失う。




この3枚のレアが活躍するにはもう少し時間が掛かる。次のエクスパンションであるビジョンズが発売されると、あの悪名高いプロスブルームという名のコンボデッキが生み出され、対戦相手は座っているだけのつらい時間を重ねさせていった。私も当時プロスブルームっぽいデッキを独自で作っていたが、"自然の均衡"のシナジーに気付かず完成系まで持っていくことができなかった思い出があるよ。


ミラージュがスタンダード落ちしてから活躍したコンボパーツ

Lion's Eye Diamond"ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond"
(0)
アーティファクト
ライオンの瞳のダイアモンドを生け贄に捧げる,あなたの手札を捨てる:あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナ3点を加える。この能力は、あなたがインスタントをプレイできるときにのみ起動できる。

パワー9の筆頭、"Black Lotus"の調整版として登場したのだが・・・。その目論見は失敗に終わったね。スタンダードでは活躍できなかったものの、多くのコンボデッキで手札がなくても問題にならなかったり、逆に手札を捨てることがメリットになったりしてしまってね。やはりどんな形であれ0マナで3マナ出すのはまずいらしい。結局、今でもヴィンテージで禁止カードとなっているね。


Early Harvest"早摘み/Early Harvest"
(1)(緑)(緑)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、自分がコントロールするすべ
ての基本土地をアンタップする。
緑らしいマナ加速だが、元になったのは青い"Reset"というレジェンドのカードだ。"Reset"では相手のターンにしか唱えられなかったが、いつでも唱えられるようになったため、コンボパーツとして活躍し得るスペックとなった。当時のスタンダードでは大きな戦果を残せなかったが、基本セット再録時に何度かコンボデッキを生み出すこととなったね。


さあ、今回はこんなところだ。次回はコンボパーツ以外の有名カードを紹介しよう。

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