今回も前回に引き続きミラージュで活躍したカードを紹介するよ。
優秀な緑のコモンたち
"ジョルレイルのケンタウルス/Jolrael's Centaur"
(1)(緑)(緑)
クリーチャー ケンタウルス 射手
被覆
側面攻撃(側面攻撃を持たないクリーチャーがこのクリーチャーをブロックするたび、ブロックしているクリーチャーはターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。)
2/2
緑のコモン・クリーチャーは、前回"根の壁"を紹介したが、それ以外にも優秀な連中が多い。その中でも"ジョルレイルのケンタウルス/Jolrael's Centaur"は地味な能力ながら多くの緑デッキで攻守ともに活躍していた。ミラージュ世界を演出する側面攻撃付きクリーチャーとしてトーナメントシーンで活躍した数少ないカードの1つは、緑で唯一の側面攻撃持ちのコイツだった。当時の私に被覆の強さを教えてくれた1枚でもあるね。
"ジャングル・ワーム/Jungle Wurm"
(3)(緑)(緑)
クリーチャー ワーム
ジャングル・ワームがブロックされた状態になるたび、それはターン終了時まで、それ自身をブロックしている最初のクリーチャーを除いたクリーチャー1体につき、-1/-1の修整を受ける。
5/5
5マナ5/5というマナ・レシオは、当時のコモンクリーチャーとしては優秀な水準でね。まあ、正直大活躍というレベルではなかったものの、あの"アーナム・ジン"の穴を埋める候補としてステロイド系のデッキなどで使用実績がある。デメリットが複数ブロックを誘う点を逆手に取り、ブロック後の"火葬"や"巨大化"が決まると痛快だったね。
"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage"
(緑)
クリーチャー 人間 ウィザード(
(赤),(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。農芸師ギルドの魔道士はそれに1点のダメージを与え、あなたに1点のダメージを与える。
(白),(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで先制攻撃を得る。
1/1
"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage"は個人的にお世話になったクリーチャーだ。ビジョンズ発売後に一大勢力となった5CGを下支えするシステム・クリーチャーだ。1/1クリーチャーながら芸達者で、5CGのミラーマッチでは先に出すと勝つくらいの強さがあった。相手の"農芸師ギルドの魔道士/Granger Guildmage"や"極楽鳥"など、タフネス1のクリーチャーが豊富な時代だったからね。
"メテンダ・ライオン/Mtenda Lion"
(緑)
クリーチャー 猫
メテンダ・ライオンが攻撃するたび、防御プレイヤーは(青)を支払ってもよい。そうした場合、このターン、メテンダ・ライオンが与えるすべての戦闘ダメージを軽減する。
2/1
白のライオンがレアなのに対し、緑のライオンはリーズナブルで好感度が高めだったね。コモンでパワーが2あり、かつ1マナという破格のクリーチャーだよ。相手が青いときはデメリットが付いているようにも見えるが、青に対しマナ拘束ができるという観点ではむしろメリットといえる能力だ。それに、ブロック時には何のデメリットもない。当然、緑ウィニー系で活躍したよ。
緑以外で活躍したコモンを紹介
"祭影師ギルドの魔道士/Shadow Guildmage"
(黒)
クリーチャー 人間 ウィザード
(青),(T):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番上に置く。
(赤),(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。祭影師ギルドの魔道士はそれに1点のダメージを与え、あなたに1点のダメージを与える。
1/1
緑のギルドメイジと同様、赤マナの起動能力が強力で、5CGと同時期に活躍した5CBで投入されたクリーチャーだ。青マナでクリーチャーの緊急避難ができる点も地味に役立った。CIP能力の再利用が主な用途だが、そのCIP能力は、実はビジョンズでやっと一般的な能力となる。このミラージュまでは、非戦闘系クリーチャーの能力と言えば起動型能力がほとんどであり、その点でコイツもビジョンズ登場後が活躍の本番となったね。
"押し寄せる砂/Choking Sands"
(1)(黒)(黒)
ソーサリー
沼でない土地1つを対象とし、それを破壊する。その土地が基本でなかった場合、押し寄せる砂はその土地のコントローラーに2点のダメージを与える。
こちらも先ほどの"祭影師ギルドの魔道士/Shadow Guildmage"と同様、5CBでの実績があるカードだ。5CG,5CBといった多色デッキには特殊地形が大量投入されていたものだから、対象に困ることはなかったものさ。アグレッシブにマナ拘束ができる憎いヤツだ。後攻1ターン目で"暗黒の儀式"から飛んでくると、それだけで試合の流れを決定づけることもあったよ。
"ケアヴェクの火吹き/Kaervek's Torch"
(X)(赤)
ソーサリー
ケアヴェクの火吹きがスタックに積まれているかぎり、それを対象とする呪文はそれを唱えるためのコストが(2)多くなる。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ケアヴェクの火吹きはそれにX点のダメージを与える。
あの"Force of Will"にマナを払わせることができるX火力がこの"ケアヴェクの火吹き/Kaervek's Torch"だ。万能とまではいかないが、試合中に1度でも見せておけばかなりのプレッシャーを与えられる点が、最大の魅力だろうね。赤マナが出せるデッキでは、青相手のサイドボードとして居場所を持っていたんだ。
粒ぞろいのアンコモン達
"水門/Floodgate"
(3)(青)
クリーチャー 壁
防衛
水門が飛行を持つとき、それを生け贄に捧げる。
水門が戦場を離れたとき、それは飛行を持たない青でない各クリーチャーに、あなたがコントロールする島の数の端数を切り捨てた半分に等しい点数のダメージを与える。
0/5
青いアンコモンと言えば前回紹介した"雲散霧消"だが、コイツもなかなかの活躍を見せてくれた。当時ウィニーが強い環境にありながら、青単デッキを成立させてくれた立役者だ。場を離れるだけで、一方的なアドバンテージをもたらしてくれる点が魅力だ。"島"そのものの価値を押し上げ、当時一番強いカードを"島"にしていた点でも立役者だったといえるね。
"スークアタの火渡り/Suq'Ata Firewalker"
(1)(青)(青)
クリーチャー 人間 ウィザード
スークアタの火渡りは、赤の呪文や赤の発生源からの能力の対象にならない。
(T):クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。スークアタの火渡りはそれに1点のダメージを与える。
0/1
当時の青によくいた、ピンガーと呼ばれる1点ダメージを与えるクリーチャーの一人だ。ギルドメイジのところで紹介したとおり、タフネス1のクリーチャーが大量に存在していたスタンダードでは、限定的ながら除去耐性のあるコイツは居場所があった。コモンのギルドメイジと比べるとコストが重く、先に出されると手札で腐るため、サイドボードでの活躍が多かったように記憶しているよ。
"呆然/Stupor"
(2)(黒)
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚無作為に選んで捨てる。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
現在の水準では強いカードの部類だろう。しかし申し訳ないが、最初にコイツを見たときの印象は「え、弱い」だった。その理由はフォールン・エンパイアに存在していた"Hymn to Tourach"のせいだ。あいつがコモンなうえに2マナで、能力も上回っていたのだから仕方ない。"Hymn to Tourach"脱落後の手札破壊デッキの主力として大いに活躍したね。
"ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary"
(3)(赤)
クリーチャー イフリート
プロテクション(白)
(1)(赤):ワイルドファイアの密使は、ターン終了時まで+1/+0の修整を受ける。
2/4
カウンターポストのトークンにブロックされず、"剣を鋤に"が効かない。"神の怒り"と1対1ができるだけのスペックを持つ、優秀なアンコモン。加えて"白騎士""黒騎士""ジョルレイルのケンタウロス"に一方的に勝てる。更に"火葬"で落ちない2/4という数値にパンプアップ能力は、当時の水準では単体で場を制圧し得た。見た目以上に大活躍した1枚で、私もよく苦しめられたものさ。
"緋色のダイアモンド/Fire Diamond"
(2)
アーティファクト
緋色のダイアモンドはタップ状態で戦場に出る。
(T):あなたのマナ・プールに(赤)を加える。
第6版再録時にポンザデッキで活躍したカードだ。赤以外にも各色のダイアモンドが存在していたが、その中でおそらく最も使われた1枚だろう。青や白もプリズン系のデッキで使われたが、第6版時代のポンザ勢力が比較的大きかった点で差が付いたと思うね。赤いマナ加速は貴重だったので、ポンザ以外のデッキでもたまに見かけるだけのカードパワーはあったね。
レアカードからはこの4枚を紹介
"政略/Political Trickery"
(2)(青)
ソーサリー
あなたがコントロールする土地1つと、対戦相手1人がコントロールする土地1つを対象とする。それらのコントロールを交換する。(この効果は永続する。)
青でありながら土地対策ができる、数少ないカードだね。露骨なカウンターポスト対策として大いに活躍したカードだ。ミラーマッチで自分の"Thawing Glaciers"を起動後に押し付け、回収するという手口が実に青らしく、良く見かけたものさ。イラストの分かるような分からないような雰囲気も魅力の一つだろう。
"最後の賭け/Final Fortune"
(赤)(赤)
インスタント
このターンの後に追加の1ターンを行う。そのターンの終了ステップの開始時に、あなたはこのゲームに敗北する。
赤らしい男気溢れる、アツいカードだ。勝つか負けるか、2つに1つ。たった2マナで1ターン追加という性能は、あのパワー9の"Time Walk"と同等と言える。コンボデッキ向きの能力だが、当時のコンボデッキに向くマナ・コストではなかったため、活躍の場は主にスライ系のデッキだった。遅いデッキ相手にサイドインするといった使われ方が多かったと記憶しているよ。
"マロー/Maro"
(2)(緑)(緑)
クリーチャー エレメンタル
マローのパワーとタフネスはそれぞれ、あなたの手札のカードの枚数に等しい。
*/*
緑らしくない能力なのだが、派生カードも多く人気の1枚だ。このカード名は、カードデザイナーの重鎮、マーク・ローズウォーターの名前から取られている。ミラージュ当時のカードタイプ欄は「ネイチャー・スピリットの召喚」とかかれていて、マニアックなクリーチャータイプマニアの間では人気だったね。実戦での成績はそこそこで、"ハルマゲドン"と組んでマローゲドンというデッキを誕生させていたよ。
"熱狂のイフリート/Frenetic Efreet"
(1)(青)(赤)
クリーチャー イフリート
飛行
(0):コインを1枚投げる。あなたがコイン投げに勝った場合、熱狂のイフリートはフェイズ・アウトする。あなたがコイン投げに負けた場合、熱狂のイフリートを生け贄に捧げる。
2/1
世界初、トーナメントクラスのコインフリップ能力を持ったカードだ。運さえよければタダで除去から逃れられるという能力は、一見地味だが使ってみるとかなり優秀だった。コイツは先入観によって評価が著しく低かった、という点をお伝えしたい。コインフリップ系にかつてまともなカードはなく、しかもミラージュの多色カードが揃いも揃って紙クズばかりだったため、コイツの評価も最初はものすごく低かったんだ。
"熱狂のイフリート"を見ると、このゲームの面白さを思い出すんだ。あの当時、誰も強いと思っていなかったカードが実績を残した時の感動は、マジックの知的ゲームとしての奥深さを感じることができる。見るからに強い能力でないし、あっと言わせるようなコンボがあったわけでもない。使ったら強かった、とか、よく考えると強い、というコイツの能力は、いつか自分もそんなカードを発掘してやりたい、と思い描いていた当時の気持ちを呼び覚ましてくれる。
さて、こんなところでミラージュの話はおしまいだ。しかしきっと、誰かがミラージュの「闇」について話しをしてくれる・・・そんな気がするんだ。